電子カルテを導入するメリット・デメリット

電子カルテを導入するメリット・デメリット
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目次

電子カルテとは

電子カルテとは、従来医師が診療の経過を記入していた、紙のカルテ(診療録)を電子的なシステムに置き換え、電子情報として一括してカルテを編集・管理し、データベースに記録するシステムまたはその記録です。

電子カルテは大きく分けて、病院向け電子カルテと診療所(クリニック)向け電子カルテが存在します。入院機能の有無や部門機能の有無、医事会計システム(レセコン)の有無が異なってきます。比較検討する際はご注意ください。

今では電子カルテ化が一般的になり、毎年多くの医療機関が新規開業されますが、そのほとんどの医療機関が開業時に電子カルテを導入しています。

たくさんのメーカーが電子カルテを販売し、電子カルテの普及を狙っていますが、医療機関全体を見渡してみますと、実際の電子カルテの普及率(導入率)はまだまだ低い状況です。

カルテの電子化により、様々なメリットが得られるものの、デメリットも少なからず存在します。このデメリットが電子カルテの普及の妨げにもなっており、電子カルテメーカーは様々な工夫をしています。

電子カルテの5つのメリット

メリット.png

電子カルテを導入することで得ることができるメリットを挙げてみましょう。

メリット1 業務効率向上(受付業務軽減、カルテの記録を楽に)

紙カルテの待ち時間がなくなるため、

 ・予約や受付業務の軽減
 ・会計時間の短縮による患者の待ち時間軽減
 ・診療情報提供書などの文書作成時間の軽減

が期待できる上、
操作負荷を軽減するための機能により

 ・カルテ記載
 ・処方や注射などのオーダー(オーダーリング)

も紙カルテの時より時間を減らすことができます。

メリット2 検査結果の取り込みができる

検査会社へ依頼した検査の結果を電子カルテへ取り込むことができるため、必要な時に電子カルテの画面上から検査結果の確認が可能となります。

検査会社によっては、オンラインで検査結果をアップロードでき、検査結果の取り込み操作自体が不要となるケースもあります。

メリット3 スペースが広がる!(保管スペースの減少)

電子カルテのデータはサーバーと呼ばれる装置に蓄積されます。この電子カルテサーバーには非常にたくさんのカルテ情報を保存することができるため、患者が増えても長年診療をおこなっていても、紙カルテのように保管場所に困ることはありません。

電子化以前の紙カルテの保管方法によっても変わってきますが、必要な紙カルテだけ残すことができれば、保管スペースを減らすことができます。

紙カルテを原本として電子化保存するサービスもあり、大幅に保管スペースを減らすことができます。

メリット4 見たい情報がリアルタイムで確認可能

入力や編集、削除したものはすぐに反映されるため、紙カルテの所在がわからなくなった場合や、紙カルテがまわってくるまで確認・処理できなかったことがタイムリーに確認・処理できるようになります。

しかし、場合によっては紙を用いた方が便利であったりするため、受付票などの紙類が運用として残ることもあります。

メリット5 間違いを未然に防ぐ!

先生ごとの字の特徴を読み解く必要がないため、看護師や事務員の方々は先生の指示を的確に把握できるようになります。間違いや事故を未然に防ぐことが可能になったり、会計やレセプトの操作やチェックをスムーズにおこなうことができるようになります。

電子カルテの4つのデメリット

電子カルテの導入は、メリットばかりでははく、デメリットも少なからず存在します。
デメリットもしっかりと把握した上で、導入を決めた方がいいでしょう。

デメリット.png

デメリット1 システム慣れが必要

電子カルテは様々な機能を有しており、1つの画面からできることも多く、操作に慣れるまでに時間を要するケースがあります。
また、電子カルテと医事会計システムが別のシステムである場合、事務員は双方の画面操作を覚える必要があり、苦労もひとしおです。
新しいスタッフが入職した際に、操作に慣れて独り立ちできるまではコストがかかってしまうことも考えられます。

デメリット2 電子カルテに運用をあわせる必要があるケースも・・

電子カルテを利用するためには、少なからずこれまでの運用を変更・統一しなければならないケースが出てきます。
中には、少し不便に感じる面もありますので、実際の運用を想定した確認が必要です。

例えば、医師によってはカルテ記載内容が長かったり、短かったり、利用者によってバラツキが生じることが想定されます。テンプレートなどを利用した記載内容の統制が必要となるかも知れません。

また、これまで利用していた帳票が使えなくなることもあるため、代替手段などの確認・情報共有が必要です。

デメリット3 停電になると利用できない

電子機器で構成されているため、停電や電力供給が不安定な中では利用できません。
万が一の停電に備え、一時的に紙カルテ運用に切り替える訓練も日頃から必要です。

デメリット4 運用コストが必要

電子カルテは、導入費用に加え、月々のランニングコストも必要になります。今では無料の電子カルテも世の中に出てきており、よりシェア争いが活性化しています。
デメリットとコスト(価格)を払拭できる利便性を持った電子カルテを選びたいものです。

クラウド型電子カルテとは

インターネット回線を通して提供されるシステムをサービスとして利用する形式の電子カルテを「クラウド型電子カルテ」といいます。

通常、電子カルテのデータは院内の電子カルテサーバーの中にあり、診察室や受付などの端末から電子カルテサーバーへアクセスすることで必要な情報を取得・表示しています。

クラウド型の電子カルテは電子カルテサーバーを院内に設置する必要がなく電子カルテのサービスを提供しているデータセンターへアクセスすることで必要な情報を取得・表示します。

だから、どこからでも電子カルテを利用できるという大きな特長を持っています。

メーカーにもよりますが、クラウド型電子カルテを選択すれば、データは全てデータセンターに存在するので、院内にデータを残さず、それだけでBCP対策にもなります。

また、電子カルテサーバーのバックアップや更新作業などのメンテナンス作業から解放されるのも、医療機関には大きなメリットの1つです。

セコム医療システムのクラウド型電子カルテは、2001年からサービスを提供しており、長年の実績で培われてきたノウハウと、セコムグループならではの高いセキュリティにより提供されています。

意外と簡単!クラウド型電子カルテの導入準備

クラウド型電子カルテのサーバーは院内に設置する必要がなくなるのは前出のとおりですが、データセンターへアクセスするためにはインターネット環境(通信回線、通信機器など)が必要です。

PACS等の部門システムが存在する場合は、電子カルテのネットワークと部門システムのネットワークを分離するための装置も必要となる場合があります。

Point 場所を選ばず利用可能!

院外で電子カルテを使うことができるように許可・設定されたパソコンやタブレットなどの端末があれば、院外でも電子カルテを利用できることが大きなメリットの1つです。

緊急コール時でも、院内に立ち寄ることなくその場で電子カルテを利用できるため、無駄な時間を要することなく適切な指示を出すことができます。

院外で使われたくない場合には、利用できなくする設定を保有しているメーカーもあります。
院外で入力した内容であっても、瞬時に電子カルテに反映されるため、タイムラグなく院内スタッフが確認することができ、スムーズに指示を与えることが可能です。

まとめ

これまでの内容を比較表にしてみました。
あくまでも一般的な電子カルテでの比較ですので、メーカーによって得手/不得手はあることをご了承ください。

地域医療連携も視野に入れるのであれば、これからの時代は電子カルテが必須アイテムとなることは間違いないでしょう。

【比較1】電子カルテを導入しない手はない

電子カルテと紙カルテの比較

【比較2】クラウド型電子カルテ院内設置型電子カルテとの比較電子カルテを選ぶポイント

クラウド型と院内設置型の比較

利便性や価格も重要ですが、電子カルテ(電子保存)の三原則(見読性、真正性、保存性)を満たした製品なのか、しっかりと見定めることが必要です。
いわゆる「3省4ガイドライン」と呼ばれる各種ガイドラインへの対応状況も重要なポイントとなります。

しかし、どんな電子カルテを選定したとしても、医療機関は定められた運用管理規定に則って電子カルテを利用する必要があり、厚生局の監査や個別指導で指摘を受けないようスタッフの意識を高めることも必要です。

また、せっかく導入した電子カルテは長く使いたいため、メーカーやベンダーの事業の継続性も検討の材料にした方がいいでしょう。

電子カルテ(電子保存)の三原則

■見読性

電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできることである。

ただし、見読性とは本来「診療に用いるのに支障が無いこと」と「監査等に差し支えないようにすること」であり、この両方を満たすことがガイドラインで求められる実質的な見読性である。

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000166260.pdf

■真正性

正当な人が記録し確認された情報に関し第三者から見て作成の責任の所在が明確であり、かつ、故意または過失による、虚偽入力、書き換え、消去、及び混同が防止されていることである。

なお、混同とは、患者を取り違えた記録がなされたり、記録された情報間での関連性を誤ったりすることをいう。

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000166260.pdf

■保存性

記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されることをいう。

引用:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000166260.pdf

【参考】3省4ガイドライン

■厚生労働省
 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン

■総務省
 ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン
 ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン

■経済産業省
 医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン