セコムの医療事業進出 挑戦の歴史

セコムの医療事業進出 挑戦の歴史
第1章 「究極の安全・安心は生命・健康を守ること」

「セキュリティ」と「メディカル」。2つの領域には一見何のつながりもないと思われるかもしれませんが、セキュリティサービスの根幹にあるのは、お客様の「生命と財産」を守ることです。

1981年、家庭向けオンラインセキュリティサービスを発売しました。そのオプションサービスとして開発したのが救急通報システム「マイドクター」。ペンダント式で救急時に軽く握るだけでセコム・コントロールセンターに救急通報信号が送信できます。センターの指示で、セコムの緊急対処員がご契約先の家庭に駆けつけると、お客様が心臓発作や脳梗塞、高血圧症などで苦しんでいる現場にたびたび遭遇しました。セコムとして何とかできないか、という思いが社内で高まる中、病院の受け入れ体制がないことを理由に、乳幼児が救急車でたらい回しになって死亡する社会問題が新聞やテレビなどで取り上げられます。
こうしたご契約先での出来事や社会問題を通して、命や健康を脅かす不安の解消こそが「究極のセキュリティ」になると考え、セコムはメディカル事業への進出を決意しました。

マイドクター

第2章 「在宅医療のパイオニアとして」

メディカル分野での具体的な取り組みは、アメリカでのノウハウ取得から始まりました。1988年、アメリカ最大の病院経営会社から救急医療部門を買収、89年には在宅医療会社を買収。当時アメリカでは国民医療費急増の問題から、病院での入院日数の短期化が進み、退院後の受け皿として在宅医療が急成長していました。自宅で治療・療養する方がゆったりとでき患者様自身も喜んでいることが多く、また治療効果もより高いという報告を知り、セコムは日本でも自宅療養という選択肢があっても良いのではないか、と考えるようになりました。

これらのノウハウを得て、セコムは1991年、国内最高クラスのクリーンルームを持つ薬局を開設し、在宅医療に欠かせない薬剤提供サービス訪問看護サービスの提供を始めました。当時、日本の平均在院日数は約40日。病気の間は、「入院している」ことが当たり前だった時代です。民間企業で本格的な在宅医療サービスを提供するところは他になく、お客様の「自宅で療養したい」という声に応えながら、セコムは徐々にサービス提供エリアを広げ、在宅医療のパイオニアとしての地位を築いていきました。

薬剤提供サービス

訪問看護

第3章「国内での医療・介護事業の展開とセコム医療システム株式会社の設立」

1992年には医療機関から要請を受けて病院運営支援を開始、1994年には在宅医療を受けている患者の病状が快方に向かった場合に必要になる訪問介護サービスについても、サービスの提供を始めました。また同年、医療に地域格差があるべきでない、患者がどこにいても均質な医療サービスが受けられるようにしたい、という考えのもと、同じく1994年に日本初の遠隔画像診断支援サービス「ホスピネット」をスタート。さらに、 2001年には当時画期的だったクラウド型電子カルテも開発。在宅医療を推進するためにはクリニック、訪問看護ステーション、患者間で情報共有をできるようにすることが必要だと考えたからです。個人情報としては非常にセンシティブなカルテも、セコムのセキュリティ技術を生かして安全な取扱いができることで、利便性と安心をお届することを可能にしました。また、医療分野と並行して、有料老人ホームの運営など介護分野でも事業領域を拡大。個人がより安心して齢を重ねることができるように、トータルなサービスの創出を目指すようになりました。

2002年にはセコムの医療事業部門を分社化し、医療グループ会社(セコム在宅医療システム株式会社、セコムケアサービス株式会社、セコム漢方システム株式会社)と合併し、セコム医療システム株式会社として独立。これまでに蓄積したノウハウを生かしつつ、より独創的で、質の高いサービスを提供できるよう、事業の拡大と成長を目指す環境が整備されました。

電子カルテ

本社ビル

第4章「健康・予防分野への進出と国際的取り組みの強化」

時代に先駆け、健康・予防分野の事業も展開してきました。2003年、予防分野で実績のある「日本医療情報システム株式会社」を買収。また、「充実の大人時間」をコンセプトに、より豊かなシニアライフを提供するデイサービス(セコムシニア倶楽部)や会員制の健康管理サービス(セコム健康くらぶKENKO)を設立。
さらに、2008年からは経済連携協定に基づき、提携医療機関でインドネシア人・フィリピン人看護師候補者の受け入れを開始。また、セコムメディカルグループの管理者向け海外研修プログラムの企画を推進するなど、国際的な取り組みも強化するようになりました。

セコム健康くらぶKENKO

第5章「地域医療連携の実現に向けて」

2011年に、ご利用者様が安心してご自宅で療養できるように、在宅総合ケアセンターを開設しました。このセンターでは、看護師や介護士をはじめとする専門職のチームが一丸となり、ご利用者に最適なサービスを提供しています。

また、2014年3月に、訪問看護では日本最大規模となるモバイルネットワークを構築しました。訪問看護サービスの質の向上と一層の業務効率化を目指し、全訪問看護師にモバイル端末を配布。タブレット端末を活用することにより、訪問先でタイムリーに入力することができ業務の効率化を図っています。
このように訪問看護においても本格的なICT化に取り組んでいます。

さらに2017年8月には保健師助産師看護師法に基づく特定行為研修の研修機関として株式会社として初めて厚生労働省から指定されました。セコム医療グループおよび地域の医療現場に於いて医療安全に配慮しつつ高度な臨床実践能力を発揮し、チームのキーパーソンとして機能できる特定行為に係る看護師の育成を計画的、効果的に取り組んでいます。

在宅総合ケアセンター鎌倉

ICT化の取り組み

未来へ 「セコムのメディカル事業が目指すもの」

超高齢社会を迎えた現在、我が国では人々の健康予防・医療・介護への関心はますます高まっています。世界からも日本がどのような施策を打ち、民間企業がどのようにこの市場環境をビジネスチャンスとして活かしていくか、そしてどのように課題解決していくのか、非常に注目を集めています。

現在、セコム医療システムが目指しているのは、予防、急性期・回復期、慢性期医療、在宅医療、介護までをICTでつなぎ、地域で患者様・ご利用者様が安心して暮らし続けることができるようにすることです。

セコム医療システムは国内でも海外でも、それぞれの地域で求められる役割を果たしながら世界水準を見据え、そこで「最高の質」のサービスを提供できるよう、そして、社会システムの中で人々が安心してサービスを受けることができるよう、これからも力強く前進していきます。

Sakra World Hospital

未来へ