肺高血圧症

2024.05.08

セコムと肺高血圧症の関わり

肺高血圧症患者さんの希望に

セコムは、日本初の警備保障会社として創業以来、あらゆる不安のない社会を実現するために「社会システム産業」の構築を目指し、時代に先駆けた革新的なサービスを開発、提供してきました。その中で、家の見守りだけでなく、自宅で過ごすご家族の健康を守ることが、「究極のセキュリティ」であるとの考えのもと、1991年に医療事業を立ち上げ、民間で初となる訪問看護サービスや、日本で初めて高カロリー輸液調剤が可能なクリーンルームを併設した薬局を開設しました。

当時、肺高血圧症治療は国内に内服薬しかなく、一部の患者さんは海外での肺移植をされていましたが、費用が高額であり、機会は限られている状況でした。そのころ海外では、24時間365日の持続投与の注射薬治療が行われていました。注射薬は治療効果が期待できるものの、日本国内では承認されておらず、それを求めて渡米する患者さんもいらっしゃいました。さらに24時間365日の持続投与をするための保険制度も日本では整っていませんでしたので、帰国しても治療継続が難しい状況でした。

その後、患者会の方の努力、専門医の先生方の働きかけにより、日本国内での注射薬の承認の目途は立ちましたが、24時間365日の治療を在宅にて継続するサポート環境、薬を投与するための輸液ポンプの管理などの手段がありませんでした。そこで、高カロリー輸液や在宅での輸液ポンプ管理を行っていたセコム薬局に、専門医の先生からお声がけをいただき、国内の治験の段階から携わらせていただいたことが、私たちが肺高血圧症に関わるようになった始まりです。

前向きな治療へと変えていくために寄り添う

多くの患者さんをサポートしていく中で、患者さんやご家族が治療を受け入れられず、自暴自棄や、治療拒否が見受けられるケースもありました。これを解決するために私たちが行ったのは、医療機関と情報を共有しながら、治療を継続できる手段を模索し、患者さんとご家族が診断・治療をどう受け止めているかを傾聴することでした。そして、患者会や似たような環境の方をご紹介し、治療の先にある生活や将来をイメージできるようサポートをさせていただくことになりました。また、治療薬に関わる情報だけではなく、患者さんの生活に役立つ情報が載った資材の必要性を製薬会社に伝え、制作・編集協力をしました。

患者さんとの関わり

お子さんが肺高血圧症と診断され、不安を感じられていた親御さん

お子さんが治療を開始される中、ご家族の生活、仕事の継続、趣味などが全て変わってしまうのでは?と不安を感じられていました。そこで、同年代の患者さんを持つご家族を紹介し、治療が落ち着いた先の生活を想像できるようにさまざまなお話をしていただきました。すると、数か月後には「1年に1度家族で行っていた旅行に行ってきます」とご連絡が。前向きに生活できるようになり、「困っている方がいたら、相談に乗りますよ」と言っていただけるまでになりました。

治療を受け入れられなかった患者さん

体調不良があり、精密検査後、肺高血圧症と診断され、注射薬を投与しなければならない状況でしたが、ご本人が治療を受け入れられないとのご相談があり、在宅に戻る前の入院中に面談をさせていただくことになりました。お会いした当初は治療の先が見えず、不安から不眠にもなっていました。
お話を聞かせていただくと、普段、国内外問わず活発に行動されていることや、ライフステージに変化があったばかりの時期で今後の生活が想像できなくなっていたことが分かりました。話を進めるうちに、今後やりたいことをリストアップしていただき、それを叶えるために、治療をサポートさせていただくことになりました。その後、やりたいことを全て希望通りに叶えられ、他の患者さんのサポートをお申し出いただけるまでになりました。

過去には、幼いころから治療を開始した患者さんの結婚式でお祝いのスピーチをさせていただいたこともありました。このように、治療を開始したことが縁で、ずっとつながりを持ってくださる方もいらっしゃいます。また、子どものころから治療を経験したことで医療職に興味を持ち、実際に医療職に就いて働いている方もいます。そういった方々を私たちは親のような気持ちで見守ってきました。外来や入院中に患者さんとお会いするときには、病気や治療以外の話もできることが嬉しいと言われることもよくあります。そうした関係性をこれからも大切にしたいと考えています。

この記事に関わったセコム社員のご紹介

■ 部長K
薬剤師かつ大所帯の部署をまとめる頼れる部長。
おいしいものを探すこと、食べること、旅行が好き。
最近は長距離ドライブで岐阜の下呂温泉や、金沢の和倉温泉へ。
料理を化学の実験のように楽しんでいる。

■ 主事O
かつては警備業の経験あり。
関わってくれた人を笑顔にするのが得意な関西弁のお父さん。
休日は地域の元PTA仲間と遊ぶのが好き。
料理レシピを考えることも好きで、最近はまっているのは、
こんにゃくを混ぜこんだダイエットレシピのロコモコ。

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セコム薬局では、
在宅医療のサポートを
積極的に行っています。

一般調剤のほか、在宅中心静脈栄養法、在宅経管栄養法、在宅疼痛管理、在宅抗癌剤治療などの調剤にも対応できる設備を整えています。患者様一人ひとりのお話を伺いながら、健康管理をサポートします。