ミクニ マンスール
季節のメニューご紹介

過去の季節のメニューをご紹介します
（現在は提供を終了しています）

過去の季節のメニューをご紹介します
（現在は提供を終了しています）

2023 夏のメニュー

村上シェフの夏メニューへの思い

オードブル

和歌山県産の鱧を使用します。
昨年末に2年後のリニューアルオープンに向けて一時休業中のオテルドゥミクニの夏メニューで鮎の前菜があり、とても美味しく完成された一品で今回はその料理のオマージュになります。
じゃがいものピュレにコンソメゼリー、その上にオクラと鰹出汁のすりながしを合わせます。
ミクニマンスールでは鮎ではなく鱧を使用します。鱧はシンプルに湯引きにして白胡麻とあわせて盛り付けました。

スープ

熊本県産の完熟トマトを使用します。
ミクニマンスールのブイヨンに昆布を加えた出汁でトマトを煮てポタージュにしました。
トマトと昆布のグルタミン酸があわさり、うま味の相乗効果を狙いました。
上にはフランスのゲランドの塩の泡とマイクロバジルをのせて味のアクセントにしてあります。

魚料理

愛媛県産の真鯛を使用します。
銀座のドミニクブシェというフランス料理店に食事に行った際に、魚料理にバターと海藻をあわせたソースを提供してもらいとても美味しく感動しました。今回はそのソースをミクニマンスールの料理に合うようにアレンジしました。
ソースは真鯛の頭と骨、わかめなどでさっぱりとしたクリアな出汁をとりその出汁にバターではなく少量の生クリームと海藻をあわせたソースに仕上げました。皮目をパリッと焼き上げた真鯛、付け合わせには冬瓜と茄子のコンポートetc.をあわせて仕上げにセルバチコをのせて味にキレを出しています。

肉料理

北海道産の神威豚を使用します。
この豚肉はオレイン酸を多く含み融点が低いので、口の中でとろける旨味があるのが特徴です。
ソースにはこの豚肉の筋と香味野菜で出汁をとり、その出汁にホワイトポルト酒を合わせたソースにしました。付け合わせには人参のピュレに人参のコンポート、枝豆、ビーツのオーブン焼き。胡桃を添えて、食感のアクセントをつけました。

デセール

フィリピン産のマンゴーを使用します。
マンゴーを薄くエマンセにして、マンダリンと黒胡椒のアイスとあわせて、下にはオレンジとライチのゼリーを。ソースには杏と薔薇で薫りを添えました。

今回のコースも五味を意識して作成しました。
フランス料理の食材全てを使い切るという想いとオマージュ料理などのメニュー構成になります。

統括料理長　村上　弘忠

2023 春のメニュー

村上シェフの春メニューへの思い

オードブル

兵庫県産の蛍烏賊を使用します。
蛍烏賊をバーナーで軽く炙り香ばしい香りを出します。ジュレ寄せには鰹出汁に浜名湖の青海苔を加えてその上に菜の花でピュレを作って合わせ、蛍烏賊と新人参のラぺとうるいの昆布〆を混ぜて盛り付けました。
海と山の春の食材を組み合わせた前菜になります。

スープ

鹿児島県産の新じゃがいもを使用します。
新じゃがいもでポタージュを作りその上に同じ土の香りがするビーツでピンク色の泡を乗せて桜海老をフライパンで香ばしく焼き上げ合わせました。この料理は三國清三シェフのじゃがいものポタージュに桜海老を合わせる料理があり、その料理のオマージュになります。桜色で春をイメージしたスープになります。

魚料理

長崎県産の鰆を使用します。
鰆は冬の寒鰆も美味しいのですが読んで字の如く春が旬の魚になります。ソースには鰆の骨と香味野菜と海藻で出汁をとり、それにサフランを加えてスープドポワソンを作りました。鰆はフライパンで皮をパリッと焼き上げ、身の方はほぼ火を入れずにしっとりと仕上げます。付け合わせには新わかめ、新玉葱はオーブンで皮ごと焼き上げ、椎茸は鰹出汁でコンポートに、小松菜、それにトマトを添えました。最後にアクセントに桜かいわれと黄色が鮮やかなビオラをのせました。

肉料理

鳥取県産の大山鶏の胸肉を使用します。
胸肉の皮をとりカロリーを抑え、トリュフオイルとゲランドの塩で真空にして６４℃の低温調理でしっとりと仕上げます。色々な温度帯で試作しましたが、大山鶏の胸肉にはこの温度が最適でとてもしっとりと仕上がりました。薫りに花穂紫蘇を。
ソースにはポールボキューズシェフが鶏肉に最高に相性の良い正統派のソースと言っていたシュプレームソースと合わせます。鶏ガラと香味野菜でブイヨンを取り、そのブイヨンとマッシュルーム、エシャロット、白ワインとノイリー酒を合わせ、生クリームで仕上げるソースです。私もこの料理はとても大好きな鶏肉の料理です。付け合わせには春キャベツをブレゼにして鶏肉の下にしき、アスパラをグリルにして筍を添えました。

デセール

山梨県産のキウイを使用します。
このキウイはEtanpet organic farmさんが作っている「グリーンシル」という国産のキウイです。
国産のキウイはとても貴重で生産量も少ないです。私がこのキウイを初めて食べた時は甘さと酸味のバランスが素晴らしく、これは絶対にお客様に食べていただきたいと思い今回のデセールを作成しました。
甘いキウイに酸味のレモン、塩味のゲランドの塩、苦味の抹茶、うま味のフロマージュブランで五味を作り、香りにセロリパウダーでアクセントをつけました。デセールで五味をまとめるのは中々難しかったですが、とてもまとまったデセールになったと思っております。

今回のコースも五味を意識して作りました。
オマージュ料理、フランス料理のポピュラーなソース、温度帯での化学を用いた料理、希少な国産のキウイを使ったデセールでの五味と色々なテイストを盛り込んだメニューになります。

統括料理長　村上　弘忠

2022 冬のメニュー

村上シェフの冬メニューへの思い

オードブル

京都の聖護院蕪を使用します。蕪は私が一番最初に勤めたカノビアーノで師の植竹シェフが好んで使用する野菜で私も好きな野菜の一つです。西麻布にあるレフェルヴェソンスでは生江シェフのスペシャリテとしても蕪を使用しています。生江シェフ曰く、蕪は一年中流通していますが春夏秋冬で味、食感、香りが全く違うので定点観測という形で料理にしているとのことでした。
私はレフェルヴェソンスには夏、秋と行きましたが同じ調理法でも違う野菜と思うくらい味、食感、香りの違いに驚いた記憶があります。
冬は蕪が最も甘くなる時期ですので今回は皮ごと使用します。蕪を鰹出汁で煮て白味噌を加えてブレンダーで攪拌し、漉して冷やした後に少量の生クリームで味を整えてソースにします。コンソメジュレは蕪の優しい味を活かしたいので鶏のコンソメをゼラチンで固めて合わせます。蕪と同じ産地の九条葱を昆布で〆て紅ずわい蟹と混ぜ、食感に白舞茸、彩りと薫りに花穂、マイクロ春菊を添えました。
仕上げにサルバーニョのエキストラバージンオリーブオイルでアクセントをつけます。このオイルは有機栽培で育てられたオリーブを8時間以内に搾取して作られるオリーブオイルです。野菜の優しい味を活かすにはとても相性が良く、カノビアーノでも植竹シェフが好んで使用しています。
私は色々とオリーブオイルは使いましたが私の中では野菜に合わせるには一番相性の良いオリーブオイルだと思います。

スープ

宮崎県の紅はるかを使用します。皮ごとオーブンで焼きポタージュにしました。10月後半からさつまいもは甘みを増しますがオーブンで皮ごと焼くことにより余分な水分がなくなり更に甘みが凝縮します。それを炒めた玉葱と合わせて鶏の出汁で煮てポタージュにしました。皮ごと使用する事でオーブンで焼いた香ばしさも伝わります。今までのさつまいものポタージュであればミルクの泡の上にさつまいものフリチュールを乗せていましたが今回はさつまいも相性の良いカモミールの泡とアーモンドローストと黒胡麻を合わせてみました。焼いたアーモンドは薫り、黒胡麻は甘いポタージュに少しアクセントをつけました。

魚料理

寒鰤を使用します。
この料理は私がミクニマンスール料理長に着任してから作成したメニューです。毎年お客様からご好評をいただいている料理で私の冬のスペシャリテの1つになったと思っています。最初の年はソースに貝出汁を使用していましたが一昨年から鰤のアラと鯛のアラで出汁をとってグリーンマスタードにフヌイユをあわせたり、昨年からビタミン大根と百合根の代わりに生キクラゲと緑トマトにガルニを変更したりと大元のメニューは変わってないですが、もっと美味しくなるようにと毎年進化している料理でもあります。この料理は和食の鰤大根の再構築の料理ですが、フランス料理では赤ワインソースで作成するのが定番でした。それは鰤には特有の香りがあるのでフライパンでしっかり焼き、赤ワイン、生姜、フォンドボヴォーなどでソースを作り、その香りを抑え、甘辛く仕上げて大根と合わせるのがセオリーでした。もちろんこれもとても美味しい調理法なのですが鰤特有の香りを完全に消してしまうと同時に旨味も消してしまうと思い私としては鰤が脂っぽいのではなく鰤なのにさっぱりとしているけど程よい脂がありもう少し食べたいな。という料理にしたかったのでまずグリルで鰤の脂を落として香りを抑え、グリーンマスタードと合わせ、鰤の上に乗せる香草と生姜のジュリアンに少量の胡麻油を合わせることで鰤のポテンシャルを残したままさっぱりと仕上げる事に成功した料理です。

肉料理

今年は青森県津軽地方で育てられた津軽かもを使用します。津軽かもはフランス原産のバルバリー鴨を青森県津軽地方でストレスなく育てられた鴨です。国産の鴨を何種類か食べ比べしましたが、私としては他品種と比べて皮下脂肪が薄く、鴨特有の臭みも少なく食べやすい鴨だなと感じてマンスールの料理にはこの鴨が合うと思い今回使用することにしました。津軽かもは本店のオテルドゥミクニでも使用しています。ソースは赤ワインにベリーの薫りを加えたソースにしました。
このソースは三國清三シェフがフランス修行時代に働いたトロワグロでソース使いの名手と言われたジャン・トロワグロシェフが鴨肉に合わせたソースのオマージュになります。
付け合わせには人参をオーブンで皮付きで丸ごと焼き上げカットし、その上に牛乳で煮た人参をピュレにしてのせ、その上に食感とアクセントに人参をラぺにして酸味を加え、その葉っぱをサラダ仕立てにして重ね、まわりには百合根とざくろを散りばめました。ガルニは様々な食感と複雑な味を組み合わせて満腹感が出るように工夫しました。

デセール

青森の紅玉林檎を使用します。タタンの名称は19世紀後半にフランス人のタタン姉妹がフランスのロワールでタタンというホテルを経営していてその時に林檎をバターで炒めている際に焦がしてしまい失敗をなんとかしようとその焦げた林檎をタルト生地にのせそのままフライパンごとオーブンに入れて焼き上げてひっくり返したらキャラメルの香ばしいタルトが出来上がりました。これがタルトタタンの始まりと言われてます。マンスールでは林檎をカラメリゼしてその表面をブリュレのように焼き固めます。タルトはカロリーが高くなってしまうので食感にクランブルを合わせています。ソースには柑橘の薫りをつけたキャラメルソースをしき、蜜柑のコンポートを散りばめ、バニラアイスとレモンバームでまとめました。冬メニューも五味を意識してメニュー構成をしていますが今回はフランス料理の新しい料理とクラシックな料理、私が最初に勤めた野菜が主体のイタリア料理の色々な良い所を私なりにマンスールの料理に落とし込んだメニュー構成にしました。

統括料理長　村上　弘忠

2022 秋のメニュー

村上シェフの秋メニューへの思い

オードブル

三國清三シェフとも親交がある渡辺雄一郎シェフのレストラン ナベノイズムに行き、渡辺シェフのスペシャリテの昆布出汁と蕎麦がきというメニューを食べてとても感動しました。
このメニューは渡辺シェフの師であるジョエル・ロブションシェフのスペシャリテのジュレドキャビアという料理を食べて感動して作成したメニューだそうです。
私は2品とも食べましたがそれは素晴らしい味で美しく完成された料理でした。
その2品を私なりにミクニマンスールの料理に落とし込み作成した料理になります。
マンスールのうま味出汁をジュレにしてその上に南瓜と西京味噌で作ったクーリーを流し、赤海老のマリネとアブルーガをのせ、本山葵とあわせました。
本山葵をあわせたのは日本人の魚介と魚卵に山葵というアプローチで使用しました。
その周りに人参のキューブをうま味出汁で煮たものを盛り付け、旬のセルバチコとアクセントにピンクペッパーを添えました。

スープ

毎年お客様からご好評いただいている旬のキノコのポタージュですが、今年はポルチーニ茸を使用せずに国産キノコのみで作成しました。
キノコのスープは三國シェフの師であるアラン・シャペルシェフのスペシャリテの野生キノコのカプチーノ仕立てが有名です。
三國シェフは生クリームとバターとフォンブランを使用し、香りづけにタイムを使用して、それをミキサーで撹拌せずシノワで濾して液体だけを使用する贅沢で濃厚なとても美味しいスープです。
マッシュルームはあっさりとしている印象がありますが、鰹節や昆布に匹敵するうま味が詰まっている食材です。
ミクニマンスールでは生クリームとバターをカロリーの関係上たくさん使用する事が難しいのでエシャロットと玉葱に塩をして少量のバターでゆっくりとソテーします。 別のフライパンで少量のオリーブオイルで、きのこにしっかりと焼き色をつけて香りとうま味を閉じ込めて２つを合わせて、そこにボライユを加えてキノコの味が最大限出るまでゆっくりと火を入れてミキサーで撹拌してスープにします。
カロリーを抑える為に生クリームをあまり使用せず、お客様に提供する時にミルクの泡を乗せて食感のアクセントにシャンピニオンのスライスとミニョネットをのせます。 ミルクの泡には見た目と生クリームよりはカロリーが低いメリットもありますが、それ以上に満腹感が増すので私はポタージュのメニューには必ずミルクの泡を使用する様にしています。

魚料理

秋は鮭が旬を迎えます。本店オテル・ドゥ・ミクニではミキュイという調理法で鮭やサーモンを提供しています。ミキュイは芯温を42℃前後で仕上げて生でもなく火が入ってるわけでもない口溶けが滑らかな調理法です。
この料理は三國シェフの師であるスイスのフレディ・ジラルデシェフが考案した調理法です。
ミクニマンスールでは塩分とカロリーをカットできるグリルという調理法でメニューにしました。
昨年は銀杏を使用してソースにしましたが、今年は栗を使用してソースにしました。魚料理のソースなので本来はフュメドポワソンか鯛の昆布出汁、貝の出汁、鰹出汁等であわせることが多いですが、栗の甘みを活かして炒めた玉葱と少量の牛乳、クリーム、バターであわせてソースに仕上げるので、栗の甘みとうま味を活かすには、私の解釈としてはボライユの方が今回の料理にはあうと思い、魚の出汁ではなくあえて鶏の出汁でソースにしました。
白胡麻のリゾットと大葉をあわせ、焼いた銀杏と百合根を添えて和食の栗ご飯をイメージしました。

肉料理

昨年は鴨胸肉を使用し、ソースポワブラードという胡椒のきいたソースで合わせましたが今年はスペイン産赤豚の肩ロースを赤ワインでゆっくりと煮込んでラグーにしました。赤豚は美味しいお肉なのですが脂が少し強いのでソースカシスを使用してさっぱり甘酸っぱく仕上げました。
付け合わせにはこちらも昨年同様に茄子を使用しますが、今年はカロリーを抑えるために揚げずにコンポートにしました。
茄子の皮を剥きカットをしてレモン水につけてから取り出して、鍋にバターを入れて色がつかないように炒めて、そこにタイムを加えて香りをつけてレモンのスライスと水と塩を加えてコンポートにしました。その上に秋茗荷のピクルス、いんげん等の豆類とその苗のクレイジーピーを乗せました。

デセール

愛知県の無花果を使用します。無花果のデセールというと赤ワインコンポートにバニラアイスをあわせるのが定番です。
今回のデセールはラ・ボンヌターブルというレストランで中村シェフの無花果のブリュレにマスカルポーネのクリームをあわせた料理を食べて、とても美味しく無花果のデセールの新しい形を教わりました。
そのイメージを私なりに再構築してマンスールのメニューに落とし込みました。
無花果はオーダーアップ前にシンプルにカソナードでブリュレにして一度冷蔵庫で冷やしてパリパリの状態にします。
アイスには青カビのチーズを使い塩味のあるアイス、その上にアーモンドのチュイル、ソースに赤ワインにアールグレイの香りをまとわせたソースにザクロとペンタスをあわせました。
このアイスとソースは私が最初に働いたカノビアーノというイタリアンレストランで師の植竹シェフに最初に教わった思い出のデセールです。そのデセールをマンスール風に仕上げました。

前菜からデセールまでに甘い、塩っぱい、酸っぱい、苦い、うま味の五味が入っているメニュー構成になっています。

料理長　村上　弘忠

2022 夏のメニュー

2022 春のメニュー