肺高血圧症

2024.08.25

管理栄養士が教える「夏バテ対策とおすすめレシピ」

夏バテとは?

盛夏も過ぎ、秋の気配を感じられる季節になりました。しかし、夏から秋への季節の変わり目は、溜まった疲労と急激な気温変化により、夏バテになりやすいといわれています。夏バテとは、夏の暑さが原因で起こる体の不調のこと。「だるい」「食欲がない」などの症状が続く場合は夏バテの可能性があるので、しっかりと対策をすることが大切です。

夏バテの代表的な症状

・全身の疲労感
・無気力
・熱っぽい感じ
・食欲不振
・イライラ
・立ちくらみ
・めまい
・体のだるさ
・便秘や下痢

夏バテの主な原因

・屋内と屋外の気温差 → 自律神経の乱れ
・寝苦しい夜が続く → 睡眠不足
・大量の汗をかくことによる脱水 → 水分・ミネラル不足
・暑さによる食欲不振 → 栄養不足

夏バテの主な原因は、自律神経の乱れや睡眠不足、水分やミネラルの不足、そして栄養不足です。特に自律神経は、呼吸や内臓の働き、血液の流れなど、生命を維持するための機能をつかさどる神経であるため、その働きが乱れると心身にさまざまな不調が現れます。
予防や対策として、以下のことを意識してみてください。

・エアコンの適切な使用(外気温の-3℃~-4℃を目安に温度設定)
・十分な睡眠(早寝早起き、夜更かしをしない)
・栄養バランスのよい食事

夏バテは、暑さによって引き起こされる「健康障害」です。そのまま放置すると熱中症につながる可能性があるため、軽視してはいけません。人間の脳が「暑い」と判断すると、体温を維持・調節するために血管が拡張し、皮膚の表面近くを流れる血液量が増えます。また、発汗によって体の表面から熱を逃がそうとします。しかし、皮膚の表面近くの血液量が増えることで、心臓に戻ってくる血液量が減少し、その不足を補うために心拍数が増加します。このような状態が長く続くと、循環器系にかかる負担が大きくなり、体温調節機能が低下。その結果として熱中症にかかるリスクが高まります。特に、循環器系に基礎疾患のある方は注意をしましょう。

意識して摂るべき栄養素と食材

暑い夏は、そうめんやざる蕎麦などの炭水化物に偏った食事になりがちです。炭水化物に含まれる糖質は、ビタミンB群の助けで体を動かすエネルギーを生み出しますが、ビタミンやその他の栄養素が不足すると、エネルギーを効率的に作り出せず、夏バテの原因になります。そのため、夏バテ予防にはタンパク質やビタミン、ミネラルなども意識して摂ることが重要です。

夏バテ予防に効果的な栄養素と食材

・タンパク質:卵、肉類、魚介類、大豆製品、乳製品
→皮膚や内臓などの体の組織を作る栄養素。体温調整によって消耗しやすいため、しっかり補給することが大切です。

・ビタミンB1:豚肉、うなぎ、玄米、ごま
→糖質をエネルギーに変換するために不可欠な栄養素です。疲労回復効果もあるので、夏バテ予防には欠かせません。

・ビタミンB2:卵、レバー、うなぎ、牛乳
→特に脂質をエネルギーに変換するための栄養素です。

・アリシン:にんにく、玉ねぎ、長ねぎ
→エネルギーの変換を助けるビタミンB群の吸収をサポートします。

・ビタミンC:レモン、ゴーヤ、トマト、ピーマン、パプリカ、キウイフルーツ
→暑さや疲労といった身体的なストレスを和らげる効果があります。

・ミネラル:食塩(ナトリウム)、野菜類・果物類(カリウム)、海藻類(マグネシウム)、レバー(鉄)、煮干し(亜鉛)
→ミネラルは発汗によって失われやすく、体内では生成できないため、食べ物からの摂取が必要です。

※肺高血圧症の患者さんは、塩分や水分の制限が必要な場合があります。発汗が多い場合は、水分とともにミネラルを補給することが推奨されますが、適切な補給については主治医にご相談ください。

【栄養摂取のアドバイス】
・カリウム:腎機能が低下している方は、過剰摂取に注意が必要です。
・鉄分:効率的に鉄分を補給したい場合は、動物性食品からの摂取がおすすめです。
・亜鉛:特に魚や肉類に多く含まれています。食物繊維や穀類・豆類に含まれるフィチン酸、コーヒーなどは、亜鉛の吸収を阻害しますので、特定の食品に偏らないように注意しましょう。

お困りの症状別のおすすめ栄養素

・皮膚トラブル:タンパク質、必須脂肪酸、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE
→これらの栄養素には、皮膚の健康を保つ効果があります。またビタミンEによって血行を促進することで、あせも・かぶれなどの肌荒れの改善も期待できます。

・感染症対策:ビタミンC、β-グルカン、乳酸菌、ビフィズス菌
→ビタミンCは白血球の働きを強化し、β-グルカンは腸の免疫細胞に作用します。さらに、乳酸菌とビフィズス菌は腸内環境を整え、体の免疫力を向上させます。

・下痢の症状:乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖、水溶性食物繊維
→オリゴ糖や水溶性食物繊維は腸内の乳酸菌やビフィズス菌の働きを促進。水溶性食物繊維は、食物の消化吸収を穏やかにすることもできます。

夏バテ対策レシピ

豚肉で夏バテ予防!トマトと豚肉の冷製パスタ

料理をするのも面倒な暑い日には、さくっと作れるパスタがおすすめです。旬の野菜を甘じょっぱいソースで絡めた、栄養たっぷり冷製パスタをご紹介します。

【材料(2人前)】
・しゃぶしゃぶ用豚ロース肉:120g
・トマト:2個
・オクラ(ゆでまたは冷凍):4本(40g)
・バジル:8枚程度
・パスタ:200g
・オリーブオイル:大さじ2
・塩:ひとつまみ(3~4g)
・はちみつ:大さじ1
・にんにくすりおろし:4g
・黒胡椒:少々

【作り方】
1. トマトを湯剥きし、一口サイズに切る。
2. オクラを2~3分茹で、輪切りにする。
3. 豚ロースをさっと茹で、ざるに上げておく。
4. オリーブオイル、塩、はちみつ、にんにくすりおろし、黒胡椒を混ぜ合わせ、トマト、オクラ、豚ロースを加え、ラップをかけて冷蔵庫で冷やす。
5. たっぷりのお湯でパスタを、やややわらかめに茹でる(表記時間より1~2分長く)。
6. 氷水の入ったボウルにざるを重ね、茹でたパスタを冷やす。
7. パスタと冷やしておいた具材を合わせ、盛り付けて完成。

食欲増進!ゴーヤとレモンのさっぱりパウンドケーキ

大人も子供も食べられるレモンケーキに、夏野菜のゴーヤを合わせ、栄養と彩りを加えました。食欲の出ないときに、間食としてさっぱりと食べられるレモンケーキはいかがでしょうか。

【材料(直径21cmサイズのパウンド型1個分)】
・ゴーヤ(わたを除いて茹でたもの):100g
・レモンの絞り汁:大さじ2
・米油:40g
・上白糖:120g
・卵Mサイズ:2個(100g)
・レモンの皮:1/2個分
・薄力粉:120g
・ベーキングパウダー:3g

【作り方】
1. オーブンを180℃に予熱する。卵は常温に出しておく。
2. 茹でたゴーヤはしっかりと水分をふき取り、ミキサーにかけ、レモンの絞り汁と混ぜ合わせる。
3. 米油に上白糖を加え、よく混ぜる。
4. 溶いた卵を少しずつ加え、よく混ぜる。
5. ゴーヤとレモンの皮を混ぜ合わせる。
6. 薄力粉とベーキングパウダーをふるい入れ、切るように混ぜる。
7. クッキングシートを敷いたパウンド型に流し込み、180℃のオーブンで20~30分焼く。
8. 粉糖にレモンの絞り汁を少しずつ混ぜ、とろりとしたアイシングを作り、冷ましたケーキにコーティングして完成。

調理と食材選びのポイント

【調理の減塩ポイント】
・パスタは塩を入れずに茹でると、2.6gの減塩になります(1.5%の食塩水で茹でた場合と比較)。
・チューブタイプのにんにくは食塩が含まれるため、すりおろしたものを使用しましょう。
・オクラの産毛は気にならない場合は、板ずりしないほうが減塩につながります。

【食材選びのポイント】
・豚肉はビタミンB群(特にビタミンB1)が豊富で、疲労回復に役立ちます。
・トマトやレモンの酸味成分であるクエン酸は、乳酸を分解して疲労回復を助け、食欲を増進させます。
・オクラにはビタミンB群、ビタミンC、カリウム、マグネシウムなど栄養が豊富。水溶性食物繊維による整腸作用のおかげで、腸の栄養吸収効率も高まります。
・ゴーヤの苦味成分「モモルデシン」は、胃液の分泌を促して食欲を増進。さらにビタミンC、β-カロテンも多く含まれており、免疫力を強化します。カリウムが豊富なのも、肺高血圧症の患者さんにとっては嬉しいポイントです。

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