肺高血圧症

2024.07.25

救急救命士・薬剤師に聞く、熱中症対策

夏の暑さが本格化するこの時期は、熱中症の予防がとても大切です。そこで今回は、セコム医療システム株式会社の救急救命士とセコム薬局の薬剤師にお聞きした、熱中症の予防法と対策を紹介します。

熱中症とは

熱中症は、脱水状態などで体温調節がうまくいかず、体に熱がたまってしまう状態です。

◆熱中症を引き起こす3つの大きな要因(3つとも当てはまる場合は要注意!)
①環境
・気温や湿度が高い、日差しが強い、急に暑くなった日
・閉め切った屋内、エアコンや扇風機がついていない部屋、など

②身体
・高齢者や乳児、肥満の方
・下痢やインフルエンザなどで、すでに脱水状態の方
・糖尿病や精神疾患といった持病がある方
・二日酔いや寝不足などの体調不良、低栄養状態の方

③行動
・激しい運動や慣れない運動
・長時間の屋外作業
・水分補給できない状況、など

日常生活での予防策

水分と塩分をバランスよくとろう

熱中症予防として「水分補給をしてください」とよく言われますが、ただ水を飲めばいいというわけではありません。人は汗をかくと、水分と一緒に塩分も失います。喉の渇きを潤すために水だけを飲んでも、塩分は補給されません。しかし、体は「水分が補給された」と勘違いをしてしまい、結果的に水分不足=脱水症状が起きて、熱中症になってしまうことがあります。反対に、塩分だけをとるのもよくありません。体の塩分濃度が高まると、高血圧を引き起こすおそれがあります。水分補給をするときは、スポーツドリンクや経口補水液など、水分と塩分がほどよく配合された飲み物を選ぶようにしましょう。
※スポーツドリンクや経口補水液は、他の飲料よりもナトリウムやカリウムを多く含みます。
 これらの摂取制限を受けている方は、事前にかかりつけの医療機関に相談してください。

室内ではエアコンや扇風機の使用を心がけよう

室内の温度が28度以上になると、熱中症のリスクが高まります。エアコンや扇風機を使って、部屋を快適な温度に保つことが大切です。熱中症になってしまっては元も子もありません。ご本人やご家族がいる部屋だけでも、涼しく快適に過ごせるようにしてみてください。
※温度の下げ過ぎも体調不良につながるので、注意しましょう。

気温の高い日は外出を控えよう

暑い日は、なるべく外出を控えることも必要です。どうしても外に出る用事がある場合は、接触冷感素材を使った涼しい服装で出かけたり、涼しいところでこまめに休憩をしながら、体を暑さに慣らしていきましょう。また、日傘や帽子、ネッククーラー、瞬間冷却剤などの冷感グッズを持って外出するのもおすすめです。

睡眠を十分にとろう

睡眠不足になると自律神経が乱れて、発汗機能や体温調節がうまく働かなくなることがあります。特に、夏の睡眠不足は熱中症を引き起こす危険があるので、毎日十分に睡眠をとるように意識してみてください。

熱中症かなと思ったら・・・

熱中症の症状は、軽度から重度まで大きく4つの段階があります。

症状は個人差があります。自身で判断が難しい場合は、迷わず医療機関に相談または受診をしましょう。

◆それぞれの段階における対処法
・軽症例(Ⅰ・Ⅱ度)の場合
すぐに涼しい場所へ移動して水分補給を行い、衣類を緩めてしばらく休憩をしてください。
症状が改善されない場合には濡れタオルなどで体の表面を冷やします。
休憩をとっても症状が治まらない場合や、自力で動けず水分補給ができない場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

・重症例(Ⅲ度、Ⅳ度)の場合
ただちに、119番通報を行ってください。
そして、涼しい場所に移動し、衣類を緩めたり体を冷やしたりして救急車が来るのを待ちます。
水分を無理に飲んだり、飲ませたりしてはいけません。
少しでも症状が見られたり、「何かおかしい」と異変を感じたら、すぐに対処をしましょう。

※参考
・日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」
・環境省 熱中症予防情報サイト 「熱中症の対処方法(応急処置)」
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_checksheet.php

薬剤師からのアドバイス「肺高血圧症の患者さんに気をつけてほしいこと」

肺高血圧症の治療を受けている方は、利尿剤によって水分を多く排出していることがあるため、熱中症には特に気をつける必要があります。水分・塩分・体重制限の指示を受けていても、そうでなくても、あらかじめ主治医や周囲の方々と熱中症の対策を確認して、備えておくようにしてください。

主治医に確認すること

・熱中症の症状が出たときに、どれくらいの水分や塩分ならとってもいいのか?
・食欲不振や脱水症状で、体重が減ってしまったときの対処法
・熱中症の予防について

ご家族や周囲の方々と相談しておくこと

・連絡先の確認
・熱中症になったときの対処法

自分自身で確認できること

○熱中症のサイン(以下のようなサインは、熱中症の初期症状といわれています)
・食欲が低下していませんか?
・水分量が低下していませんか?
・トイレの回数が減っていませんか?
・下痢や嘔吐はありませんか?

○脱水のサイン
・平熱に比べて体温が上がっていませんか?
・わきの下が乾いていませんか?

予防として、以下のことを実践してみてください。
①規則正しい食事をとる
②毎日の体調管理をする(体温、血圧、心拍数、体重などの測定)
③生活環境を整える(室内をクーラーで適温に保つなど)
④熱中症の情報を集める(熱中症警戒アラートや天気予報を確認)

そのほかに薬についての相談がある方は、いつでもセコム薬局の薬剤師にご相談ください。

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