肺高血圧症

2024.11.08

災害時にも頼りにしてほしい。東日本大震災でどう患者さんに寄り添ったか。

セコムグループの災害時対応

近年は大震災や水害など、日本各地で自然災害が数多く発生しています。セコム医療システムは、災害時に在宅医療の患者さんが安定して服薬できることの重要性を強く受け止め、使命感を持ちサポートしています。

セコム医療システムが在宅医療の患者さんにお届けしているお薬や医療材料。これらは患者さんにとってなくてはならないものです。例えば、24時間365日投与が必要な注射薬はもちろん、それを投与する輸液ポンプや付属品、お薬の調整に必要なシリンジや針など、何かひとつ足りないだけで治療が中断されてしまいます。

いつどこで起こってもおかしくない災害に備え、患者さんにはお薬や医療材料の在庫に余裕を持っていただくようご案内しています。しかし、災害は自宅にいるときに起きるとも限りませんし、自宅が安全という保障もなく、一人ひとりの備えだけではとても乗り切れないことを私たちはこれまで患者さんとともに経験してきました。

ここでは、実際に起きた過去の災害時に、セコムグループが地域の医療機関の方々や自社の現地スタッフと協力し、どのようなサポートを行ったかをお話しします。

2011年 東日本大震災

できることを全力で

東日本大震災の日、私たちが日々サポートする患者さんで震度5 強以上の地域にお住まいの方は186名。そのうち複数の方の治療が被災により中断されました。24時間365日の持続投与の必要な注射薬を扱う患者さんには一刻も早く薬を届けねばなりません。治療中止の影響から血栓でカテーテルに詰まりが生じるリスクも懸念され、私たちは治療の再開に尽力しました。

3月とはいえ降雪エリアもある東北地方。最も困難だったのは配送ルートの確保でした。道路は閉鎖され、原発の問題もあったことから、通行許可を取得するためにセコム医療システム社内だけでなくセコムの警備部隊や製薬企業の協力を仰ぎながら薬を届けました。

治療が再開される一方で、3日間も注射薬が中断され状態に不安のある方などは専門的な診療が急がれます。セコム医療システムは医療機関への搬送手段を模索。社内の他部署の協力も得て、雪道の運転に慣れた現地社員が搬送し、事なきを得ました。

また、都内でもさまざまな患者さんの困りごとが起きていました。ある職場で被災された方からは、帰宅困難となり注射薬が帰宅まで持たないとの連絡が入りました。主治医のいる病院へも行けなかったため、弊社から他の専門医のいる医療機関に相談。幸い受け入れていただけることになり、そこで1日入院をし、治療を継続することができました。

さまざまなつながりがあるからこそ

震災時に患者さんは、家屋の倒壊や津波による直接の被害に加え、治療の中断というさらなる危機にさらされます。サポートする私たちには状況に応じた適切な判断と医療連携の支援が求められました。

ある患者さんは津波の影響で自宅が浸水し、屋根の上に避難されました。しばらくして救助され近くの医療機関に搬送されましたが、注射薬の治療が継続できない状況でした。そこで弊社の担当者から注射薬の治療が可能な医療機関の先生に連絡し状況を説明したところ、患者さんを受け入れてくださることに。担当者と現地在住のセコム社員が連携し、受け入れ先の医療機関へ自家用車で送り届けることができました。

無事に患者さんが治療を再開できたとの連絡が入った時は、病院と患者さんの連携を支えるため東京の事業所に集まっていた社員から安堵交じりの歓声が上がりました。翌日、医療機関の先生から「患者さんの容態は落ち着いている、緊急搬送をしてもらい本当によかった。」と、お礼の言葉をいただきました。

これは一例にすぎませんが、東日本大震災ではセコムグループの力を結集し、先生や病院と患者さんをつなぐことで多くの危機を脱することができました。今後も信頼関係を築きながら、災害への備えを強化していきます。

患者さんの声をかたちに

人と人のつながりに支えられた東日本大震災での経験から、私たちは多くの気づきを得ました。患者さんと医療をつなぐ通信の課題もその一つ。通信基地局やケーブルに甚大な被害が生じたことで、患者さんとの連絡には想定外の時間を費やしたのです。

東日本大震災が発生した当時、安否確認の方法は電話のみでした。震度5強以上を観測した地域にお住いの患者さん186名一人ひとりに電話をかけ、全員の安否確認には8日間を要しました。

震災後、患者さんよりご提案をいただきました。「電話は充電を消耗する。メールの方が早く復旧したので、メールで安否確認をしてはどうか?」とのアドバイスです。そのお声を機に導入に至ったサービスが、セコムグループのセコムトラストシステムズが提供している、“セコム緊急連絡網サービス”でした。

“セコム緊急連絡網サービス”は、メールでの一斉連絡で応答状況を確認できる、連絡確認ツールです。大規模災害発生時、電話が不通であってもメールが使える状況であれば、迅速に安否を確認できます。不足したお薬や医療材料の準備を円滑に行うことが可能となります。

実績として“セコム緊急連絡網サービス”を導入後、2019年10月の台風19号による水害、2021年2月の福島県沖地震、2024年1月の能登半島地震、4月の愛媛・高知地震などでは、対象地域の患者さんの安否確認を迅速に行えました。実際に患者さんからも、「安心できます。いつもありがとうございます。」との嬉しいお声をいただいています。

今後も患者さんに寄り添ったサポートを模索し続け、“困ったときはセコム!”と思っていただける頼りになる存在を目指し、質の良い医療を継続的にお届けしていけるよう全力で取り組んでまいります。


次回は「災害に備えるには?」というテーマで、在宅療養中の患者さんに知っていただきたい情報をお伝えします。

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セコム薬局では、
在宅医療のサポートを
積極的に行っています。

一般調剤のほか、在宅中心静脈栄養法、在宅経管栄養法、在宅疼痛管理、在宅抗癌剤治療などの調剤にも対応できる設備を整えています。患者様一人ひとりのお話を伺いながら、健康管理をサポートします。