血友病

2024.09.10

後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養についてご存じですか?10月から始まる薬の新制度を解説

2024年10月1日から、薬に関する新しい選定療養制度が始まります。この制度は、「後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)」を患者さんが希望した場合、その費用に「選定療養費」として自己負担が発生するというものです。今回は、この新しい制度について詳しく解説していきます。

先発医薬品・後発医薬品・長期収載品とは?

先発医薬品

先発医薬品とは、最初に開発され、承認を受けて販売された新薬のことです。新薬を開発したメーカーには特許権が与えられ、特許期間中は独占的に製造・販売することができます。

後発医薬品

後発医薬品は、先発医薬品の特許が切れた後に、他のメーカーが厚生労働省の承認を受けて製造・販売する、先発医薬品と同じ有効成分の医薬品のこと。先発医薬品に比べて薬価(医療用医薬品の公定価格)が安いため、自己負担が少なくなります。

長期収載品

長期収載品とは、昭和42年9月以前の薬事法にもとづいて製造が承認されている、「後発医薬品がある先発医薬品」を指します。今回の新制度では、この長期収載品を選択した場合に自己負担が発生することになります。

選定療養とは?

選定療養とは、保険適用外の療養を受けるときに、一定のルールのもとで保険適用の治療との併用が認められる制度です。簡単にいうと、「患者さんが追加費用を支払って選べる医療サービス」のこと。保険適用外の治療を、一部負担で受けられるのが特徴で、今回の長期収載品以外の例をあげると、入院時の個室利用(差額のベッド代)や、紹介状なしでの大病院受診の診療費などがこれにあたります。

新たに始まる長期収載品の選定療養では、先発医薬品と後発医薬品の価格差のおよそ1/4の金額が、患者さんの自己負担額に加わることになります。

制度の対象となる医薬品は?

新制度の対象となるのは、次の条件のどちらか、あるいは両方に該当する長期収載品です。
・後発医薬品の販売が開始してから5年以上が経過した長期収載品
・後発医薬品への置き換えが50%以上に達している長期収載品

ただし、以下の場合は対象外となります。
・医療上の必要性により、医師が「銘柄名処方(製薬会社の製品名を処方箋に記載して特定の薬を処方すること。後発医薬品への変更ができない)」を指示した場合
・後発医薬品を提供することが困難な場合(薬局に在庫がない場合など)

具体的には、次のような医薬品が制度の対象です。

・トラネキサム酸(トランサミン錠)
・ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロン-DP軟膏)
・フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ錠) など

対象となる医薬品の詳細は、厚生労働省のホームページよりご確認ください。

後発医薬品を選ぶメリット

一方で、今回の制度の対象となっている「長期収載品」ではなく、「後発医薬品」を選ぶこともできます。では、後発医薬品にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

後発医薬品は長期収載品に比べて薬価が半額程度で、場合によってはそれ以上安くなることもあり、患者さん一人ひとりの自己負担を軽減することができます。また、数多くの患者さんが後発医薬品を選ぶことで、国全体の医療費を抑制することにもつながり、健康保険組合や国の財政負担の削減に貢献できます。

後発医薬品の受け取り方

後発医薬品を選びたい場合は、次のようなステップで薬局にて受け取りましょう。

主治医と相談する

まずは、長期収載品・後発品の選択について主治医とよく相談しましょう。

処方箋を確認する

今回の新制度にあわせて、処方箋の様式が新しくなります。医療上の必要により、後発医薬品への変更に差し支えがある場合には、処方箋の「変更不可」の欄に✓または×が記載されます。また、患者さん自身の希望を踏まえて長期収載品を処方した場合にも、「患者希望」の欄に✓または×が記載されます。もし処方箋に印がなければ、薬局で「ジェネリック」として後発医薬品を受け取ることが可能です。

薬局で希望を伝える

薬局で後発医薬品を受け取りたい場合、次のように伝えることができます。
・初回来局アンケートに記載されている「ジェネリック希望」の欄にチェックする。
・処方箋を手渡すときに「ジェネリックでお願いします」と伝える。
・薬情(薬局で処方薬をもらうときに受け取る書類)のジェネリック情報を確認して、変更したい旨を伝える。
・お薬手帳アプリで処方箋を送信するときに、ジェネリック希望と入力する。

今回の解説を参考にしながら、金額的な負担だけでなく、医療上の必要性にも注意して、ご自分に適した薬を選んでみてください。

※参考
・厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
・政府広報オンライン「安心してご利用ください ジェネリック医薬品」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201309/4.html

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