肺高血圧症

2025.11.25

肺高血圧症の吸入治療|トレプロスト吸入液と専用ネブライザの使い方や工夫・トラブル対策

トレプロスト吸入液は、肺高血圧症の治療に用いられるお薬です。専用のネブライザを使って、1日4回の吸入が基本となります。セコム医療システムでは、このネブライザを患者さんにレンタルでご提供しています。
今回は、ネブライザをより快適にご使用いただくための工夫や、患者さんからよく寄せられるトラブルとその対処法をご紹介します。

※「専用ネブライザ」とは、トレプロスト吸入液に使用するネブライザを指します。
以降、本文中では「ネブライザ」と記載します。

ネブライザの組み立て、ちょっとした工夫でスムーズに

ネブライザは複数の部品から構成されており、最初は組み立てや分解に戸惑われる方も少なくありません。多くの方が「2~3日で慣れた」とおっしゃいますが、初めのうちは部品に色付きのシールを貼り、どのパーツがどこに接続されるか一目で分かるよう工夫されている方もいらっしゃいます。
こうしたちょっとした工夫が、日々の使用をよりスムーズにしてくれます。

ネブライザに関するよくある質問とトラブル対処法

よくある患者さんからのご質問とその対処法をご紹介します。

計量カップをなくしてしまった!

ネブライザの組み立て時には、専用の計量カップで蒸留水を計量します。1日に必要な蒸留水は45ccです。もし計量カップを紛失された場合は、お手元にある清潔な容器をご使用ください。

【計量カップ】
本体に蒸留水を入れるためのカップ。
矢印と矢印の間(赤い点線)まで蒸留水を注ぐと45ccを計量できる

栓(プラグ)が固くて外せない!

吸入の合間にネブライザを保管する際、栓(プラグ)を強く締めすぎてしまうと、次に使用するときに外しづらくなることがあります。そのような場合は、キャップを少しひねったり傾けたりして隙間を作るようにすると、比較的スムーズに外すことができます。
それでも外れない場合は、100mmサイズの小さなモンキーレンチなどを使用すると、力を入れずに取り外すことが可能です。ただし、無理に力を加えると部品が破損する恐れがありますので、どうしても外れない場合は新しい部品の使用をおすすめします。その際は、ネブライザに記載しているコールセンターまでご連絡ください

・栓(プラグ)は、吸入が終わったら霧化セット2カ所に差し込んでおきます。

外出時のネブライザ持ち運びの工夫と注意点

ネブライザは薬液を入れたまま持ち運ぶことが可能ですが、倒れると中身がこぼれてしまうことがあります。付属のバッグでの保管が推奨されていますが、ご自身で用意した持ち運びケースを大きめのバッグに入れて固定するなどの工夫をされている方もいらっしゃいます。
また、飛行機をご利用になる際は、航空会社によっては事前申請が必要な場合もありますので、あらかじめ確認いただくと安心です。

トレプロスト吸入液の温度管理と服薬管理のポイント

トレプロスト吸入液は、直射日光を避け、1~30℃の範囲で保管する必要があります。特に夏場の車内など高温になる場所には置かないよう注意しましょう。
保冷剤を使用する場合は、機器に直接触れないようにすることがポイントです。たとえば、大きなクーラーボックスの中に、小さなクーラーボックスと保冷剤を入れて、機器を間接的に冷やす工夫をされている方もいらっしゃいます。
また、吸入の時間を忘れないよう、スマートフォンのアラームを設定したり、日記や服薬管理のアプリを活用したりするのもおすすめです。内服薬とあわせて管理すると、日々の服薬スケジュールの管理を無理なく続けやすくなります。

まとめ|安心して吸入治療を続けるために

今回はトレプロスト吸入液のネブライザを使用する際の工夫やよくあるトラブルへの対処法についてご紹介しました。組み立てや持ち運び、日々の管理などのちょっとした工夫の方法が、すでに吸入をされている方はもちろん、これから吸入を始める方やご家族の皆様にとっても、安心して治療を継続いただくヒントとなれば幸いです。
ご不明な点やご不安なことがありましたら、病院の医師や看護師、かかりつけ薬局の薬剤師などに遠慮なくご相談ください。

※本サイトは、患者さんやご家族の理解を深めるための情報提供を目的としており、特定の薬剤や治療法を勧めるものではありません。治療に関する判断は、必ず主治医にご相談ください。

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