肺高血圧症

2026.04.15

肺高血圧症と向き合う食事|春から始める、心と体にやさしい減塩習慣

肺高血圧症と向き合う食事|春から始める、心と体にやさしい減塩習慣

目次

春は新しい年度や生活がスタートする、気持ちも環境も変化の多い季節です。環境の変化から外食が増えたり、気温の上昇とともに濃い味付けのものが恋しくなったりと、食事のリズムが乱れやすい時期でもあります。肺高血圧症の方にとって、日常生活の中での食事管理、特に「塩分」と「水分」のコントロールは、心臓への負担を軽減するために欠かせないセルフケアです。とはいえ、「制限ばかりで食べる楽しみがなくなるのは辛い」と感じることもあるでしょう。
この記事では、管理栄養士の視点から、春の旬を楽しみながら無理なく続けられる減塩のコツや、体調の変化を見守るポイントを分かりやすく解説します。

なぜ「減塩」が大切なの? 肺高血圧症との関係

塩分を摂りすぎると、体はその濃度を一定に保とうとして水分をため込みます。すると血液の量が増え、血管にかかる圧力(血圧)が上昇します。
特に肺高血圧症の方は、右心室が肺へ血液を送るために常に高い負荷がかかっている状態です。血液量が増えることは、心臓や肺にとって大きな負担となり、息切れ、だるさ、むくみといった症状の悪化につながり、合併症のリスクも高まります。

春に始めやすい!美味しく続ける減塩テクニック

「減塩=味が薄くて味気ない」というイメージがあるかもしれませんが、春の食材の活用と調理の工夫次第で大きく変わります。

旬の「春野菜」を味方につける

菜の花、アスパラガス、キャベツ、たけのこ。春の野菜は香りが強く、甘みが豊かです。これらの素材そのものの味を活かせば、調味料を減らしても満足感を得られます。

だし・酸味・香りで「旨味」を引き出す

  • だしの相乗効果: 昆布(グルタミン酸)やかつお節(イノシン酸)、きのこ(グアニル酸)を組み合わせると、旨味が強まり、塩気が少なくても美味しく感じます。
  • 酸味と香辛料: レモン、酢、ハーブ、生姜、こしょうをプラス。ピリッとした刺激や爽やかな香りが、味の物足りなさを補います。
  • 香ばしさ(メイラード反応): 食材に焼き目を付けると、香ばしいコクが生まれます。

調味料の「使い方」を工夫する

  • 「かける」より「つける」: 醤油やソースは直接かけず、小皿に出して少しずつつける習慣を。スプレー式の醤油差しも使いすぎ防止に役立ちます。
  • 仕上げに使う: 塩や醤油を調理の最後に入れると、舌に直接触れるため、少量でも味を強く感じられます。
  • 減塩調味料の活用: 最近は美味しい減塩醤油や味噌が増えています。賢く取り入れましょう。

外食・コンビニでも慌てない!賢い選択のコツ

春はお出かけの機会が増える季節。外食は塩分が多くなりがちですが、以下のポイントを意識するだけで大幅にカットできます。

  • 汁物は「具を食べて、汁を残す」: ラーメンやうどんのスープには多くの塩分が含まれています。
  • ソース・ドレッシングは「別添え」: 自分で量を調節できるようにお願いしてみましょう。半分残すだけでも大きな差になります。
  • シンプルなメニューを選ぶ: 煮物よりは「焼き物」や「蒸し物」を。和食なら「お刺身定食」などが調整しやすくおすすめです。
  • 注文時のひと声: 「味付けを少し薄めにできますか?」というリクエストが、心臓を守る一歩になります。

知っておきたい「食塩摂取」の目標量

厚生労働省が推奨する1日の食塩摂取目標量は以下の通りです。

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食品を選ぶときは、パッケージの「栄養成分表示」にある「食塩相当量」を確認する習慣をつけてみましょう。ちょっと意識するだけで、自然と減塩につながります。

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水分管理と「体のサイン」の見極め方

心臓の状態によっては、医師から「水分を控えるように」と指示されることがあります。
塩分と水分の管理はセットで行うことがポイントです。塩分を控えると喉の渇きが落ち着き、水分の量も無理なく調整しやすくなります。
毎日チェックしたい「3つの記録」
 1.体重:毎朝、トイレの後に同じ条件で測りましょう。急激な増加があれば注意が必要です。
 2.尿量:回数や量が、いつもより極端に減っていないかを確認しましょう
 3.むくみ:足のすねを5秒ほど押して、跡がなかなか戻らない場合は、体に水分が溜まっているサインです。

注意するポイント
 ・塩分制限は必ず医師の指示に従う
 ・水分制限が必要な場合もあるため、自己判断は避ける
 ・むくみや急な体重増加がある場合は、すぐに医療機関へ相談する
 ・利尿薬を服用している場合は、塩分・水分のバランスに特に注意する

肺高血圧症の方は、体の水分バランスが崩れると症状が悪化することがあります。
「少なすぎる」「多すぎる」どちらもリスクになるため、医師や管理栄養士と相談しながら無理のない範囲で調整していきましょう。

春のおすすめ!心にやさしい減塩レシピ

ゴロっと彩り野菜の焼きマリネ

塩分:1人分 0.1g
春のたけのことアスパラガスを使った彩り野菜のレシピ。ズッキーニやパプリカ、ミニトマトを加えて、初夏の味わいも楽しめる一品です。

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●調味ポイント
・春野菜の甘み+酸味で、塩分に頼らない味づくり
・甘酢=ベースの酸味
・バルサミコ酢=コク・奥行き
・仕上げにブラックペッパー多めで味を引き締める

●材料のポイント
・たけのこ・きのこ:うま味
・アスパラガス・ズッキーニ:春らしい青味と食感
・パプリカ・ミニトマト:甘みと酸味

<材料>2人分×3
※冷蔵庫で34日日持ちしますので、作り置きおかずとしてもおすすめです。
・ゆでたけのこ:120g(角切り、市販のものでもOK
・アスパラガス:2本(斜め切り)
・ズッキーニ:1本(輪切り)
・パプリカ:1個(角切り)
・ミニトマト:6
・きのこ(エリンギやぶなしめじなど、お好きなもの):50g

炒め用
・オリーブオイル:大さじ2

マリネ液
・バルサミコ酢:大さじ3
・甘酢:大さじ2
・オリーブオイル:大さじ2
・減塩醤油:小さじ1
 ※通常の醤油を使用する場合は、小さじ1/2程度で調整してください。
・ブラックペッパー:適量

あると便利なもの
料理用バット

<作り方>
1.野菜、きのこを切る。
2.フライパンにオリーブオイルを入れ、中火でミニトマト以外の材料を先に炒める。
  全体的にしんなりとしてきたら、ミニトマトを追加し、柔らかくなるまで加熱する。
3.バットまたは深めの皿にマリネ液の材料を混ぜ入れ、粗熱が取れた2を漬け込む。
4.冷蔵庫で23時間冷やしたら完成。
※冷蔵庫で保存する際は、密閉容器やラップを使用してください。

だしときのこの旨味香る 和風キーマカレー

塩分:1人分 1.4g
優しい味わいながら、たっぷりのきのこでボリュームと旨味が凝縮された満足度の高いドライカレーです。名脇役のかつおだしが、和風ならではの奥深い味わいを引き立てます。

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●調味ポイント
・きのこ(グアニル酸)+肉(イノシン酸)の旨味の相乗効果
・だしの香りで塩味を補完
・ガーリックチップの香ばしさで「薄味感」を感じにくい

<材料>2人分
・合い挽き肉...... 200g
・きのこ(椎茸や舞茸など、複数合わせるとより美味しい)...... 150g(みじん切り)
・玉ねぎ...... 1/2個(100g・みじん切り)
・サラダ油...... 小さじ1
・市販カレールー粉末タイプ...... 大さじ2
・食塩無添加かつおだし(顆粒だしの素)...... 小さじ1
・フライドガーリックチップ(トッピング用/お好みで)...... 少々(12g/人)
・ご飯...... 300g

<作り方>
1.きのこ、玉ねぎを切る。
2.フライパンにサラダ油を入れ、中火で合い挽き肉をほぐしながら炒める。
3.合い挽き肉に火が通ったら、きのこと玉ねぎを加え、全体がしんなりするまで炒める。
4.全体的に火が通り、きのこと玉ねぎの水分が出てきたら、かつおだしを加え、全体に均一になじむように混ぜ
  る。
5.火を止めて、カレールーを混ぜ入れる。弱火で加熱しながら、ルーが均一に溶けて全体に絡むようにする。
6.器にご飯を盛り付け、その上にカレーをかける。お好みでフライドガーリックチップをトッピングして完成。

まとめ:小さな工夫で、健やかな春を

春は、旬の食材を楽しみながら減塩を始めるのにぴったりの季節です。
だしや香り、彩りを活かすことで、塩分を減らしてもおいしく満足できる食事が作れます。
肺高血圧症の食事管理は、一人で抱え込む必要はありません。体調や生活スタイルに合わせて、医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った「おいしく続けられる方法」を一緒に見つけていきましょう。

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