画像診断管理加算における画像診断管理加算4とは?
公開日: 2024年11月22日 16:57
医療機関では、画像診断の費用を画像診断管理加算の算定によって行います。これまで、画像診断管理加算の施設基準は1から3までの範囲がありましたが、令和6年度診療報酬改定により、画像診断管理加算の施設基準に、新たに4の範囲が加わりました(※)。
ここでは画像診断管理加算の基本的な考え方と、新たに加わった画像診断管理加算4について解説します。
※参考:厚生労働省.「令和6年度診療報酬改定の概要【医療技術】」P21.
画像診断管理加算算定の概要
医療機関などが行う画像診断の費用は、画像診断管理加算の算定によって処理され、一般的には医療機関など在籍している放射線診断専門医が画像診断を行った際に算定できます。ただし条件がそろっている場合は、遠隔で画像診断などの処理を行った場合の算定も可能です。
画像診断管理加算を算定するためには、放射線診断専門医の配置と、放射線診断専門医が画像診断を行える環境作りが必要です。
放射線診断専門医と画像診断管理算定について
放射線専門医の資格は3年間の研修を受けた後放射線専門医認定試験に合格することで得られます。その後、放射線診断専門医の資格は放射線専門医の資格取得後に2年以上の研修を修了し、放射線診断専門医認定試験に合格することで得られます。(※1)
しかし放射線診断専門医がいない場合であっても、画像診断を10年以上専門的に行っており、さらに勤務時間の大部分を画像診断の撮影や読影に費やしている常勤の医師がいる場合は、画像診断加算の算定ができます(※2)。
なおこれらの医師は地方厚生局長などに届出を行わなければ、画像診断加算の算定は認められないので注意が必要です。
※1参考:日本放射線科専門医会.「私たち放射線科専門医は、先端技術を操るプロフェッショナルです。」
※2参考:日本放射線科専門医会.「Japan Radiology Assessment 2020」P6.
従来の画像診断管理加算の算定方法
画像診断管理加算を算定するには、次の2つの方法があります。
画像診断管理加算に関する施設基準を取得する方法 遠隔画像診断で算定する方法
施設基準に応じた算定方法では、原則として常勤の放射線診断専門医専ら画像診断を担当する医師※を配置しなければなりません。従来の画像診断管理加算の施設基準には次の1から3までの範囲があり、それぞれ点数や条件が異なります。ここでは従来の画像診断管理加算に関する施設基準を取得する方法について解説します。
※専ら画像診断を担当する医師とは、勤務時間の大部分において画像情報の撮影又は読影に携わっている者で、その要件は専ら画像診断を担当した経験を10 年以上有するもの又は当該療養について関係学会から示されている2年以上の所定の研修(専ら放射線診断に関するものとし、画像診断、IVR及び核医学に関する事項を全て含むものであること。)を修了し、その旨が登録されている医師を言います。 ※厚労省
画像診断管理加算1 | ・放射線科を掲げている保健医療機関であり、専ら画像診断を担当する医師が1名以上配置されている ・他の施設に画像の読影や診断を委託している場合は適用外となる ・対象の点数区分:写真診断、基本的X線診断、核医学診断、コンピュータ断層診断・画像診断管理の体制整備が必要 |
画像診断管理加算2 | 放射線科を掲げている保健医療機関であり、専ら画像診断を担当する医師が1名以上配置されている ・すべての核医学診断、CT、MRIの画像情報等の管理を、専ら画像診断を担当する医師の指示のもとに実施・専ら画像診断を担当する医師が、核医学診断やコンピュータ断層診断の8割以上の読影結果を翌診療日までに主治医への報告を行う ・他の施設に画像の読影や診断を委託している場合は適用外となるMRI装置の安全管理を遵守すること ・画像診断管理加算の対象点数区分は核医学診断やコンピュータ断層診断画像診断管理の体制整備が必要 ・診療報酬の他、撮影料も一部機器加算される |
画像診断管理加算3 | ・放射線科を掲げている特定機能病院で、専ら画像診断を担当する医師が3名以上配置されている場合に限る ・3名以上の専ら画像診断を担当する医師が、核医学診断やコンピュータ断層診断の8割以上を翌診療日までに処理し、主治医への報告も行う ・救命救急センター又は高度救命センターを設置している保険医療機関である。 ・夜間や休日にも読影が行えること ・全ての核医学診断やCT撮影、MRI撮影について検査前の画像診断管理を行えること他の施設に読影や診断を委託していないこと関係学会の指針に基づいてMRI装置の安全管理を遵守していること被ばく線量管理をしていること など |
※参考:厚生労働省.「令和6年度診療報酬改定の概要【医療技術】」P21.
新たに加わった画像診断管理加算4と評価要件の見直し
新たに改定された令和6年度診療報酬改定の概要によると、「画像診断管理加算4」が追加されたことによって、従来の算定方法について次のような見直しが行われています(※1)。
- 【現行】画像診断管理加算2:180点 ⇒【改定後】175点
- 【現行】画像診断管理加算3:340点 ⇒【改定後】235点
- 【改定後】画像診断管理加算4:340点
- 救命救急センターを有する病院
- 画像診断を専ら担当する常勤医師が3名以上
なお画像診断管理加算4に関する施設基準を取得する方法は、次の通りです。
画像診断管理加算4 | ・点数は340点 ・放射線科を掲げている特定機能病院で、画像診断を専ら担当する常勤の医師が6名以上配置されている場合に限る ・6名以上の専門医が、核医学診断やコンピュータ断層診断の8割以上を翌診療日までに処理読影し、主治医への報告も行う ・夜間や休日にも読影を行う体制の整備 ・人工知能関連技術が活用された画像診断補助ソフトウェアの安全管理を行っていること ・夜間および休日を除く、検査前の画像診断管理の実施 ・全ての核医学診断やCT撮影、MRI撮影について検査前の画像診断管理を行えること ・他の施設に読影や診断を委託していないこと ・関係学会の指針に基づいてMRI装置の安全管理を遵守していること ・被ばく線量管理をしていること |
なお画像診断管理加算の施設基準の詳細については、厚生労働省の資料(令和6年厚生労働省告示第59号および令和6年3月5日保医発0305第6号)をご確認ください(※4)。
※1参考:厚生労働省.「令和6年度診療報酬改定の概要【医療技術】」P21
※2参考:日本メジフィックス株式会社.「画像診断管理加算の施設基準」P1~5
※3参考:厚生労働省.「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和6年厚生労働省告示第59号)」P114~
※4参考:厚生労働省.「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)(令和6年3月5日保医発0305第6号)」P142~
画像診断管理加算の算定条件に注意しましょう
画像診断管理加算の算定条件は、医療技術の発展や社会情勢の変化などによって更新されています。また遠隔画像診断を導入した場合など、医療機関の状況によっても変化するものです。
画像診断管理加算の算定条件は細かいものですが、改定があった際には内容を確認し、正確な算定ができる体制を整えておきましょう。