乳腺エコーとは?マンモグラフィ(MMG) との違いやポイントを説明

公開日: 2024年3月18日 20:07

乳腺エコーとは?マンモグラフィ(MMG) との違いやポイントを説明
目次

漠然と乳腺エコーやマンモグラフィ(MMG)という検査名は知っていても、検査内容の違いや、乳がん検査でどちらを選択すればよいかの基準がわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、乳腺エコーと専門医が読影するマンモグラフィ(MMG)、それぞれの概要や検査方法、見つけやすい所見を紹介します。

乳がん検診には、乳腺エコーとマンモグラフィ(MMG)の二つの検査方法がありますが、どちらを選択したらよいか分からない方もいるのではないでしょうか。乳腺エコーと専門医が読影するマンモグラフィには、検査方法の違いだけではなく、それぞれの特徴も異なります。この記事では、乳腺エコーとマンモグラフィの違いや、検査方法を選択するときのポイントを紹介します。

乳腺エコーとは超音波で乳がん検診をする方法

乳がん検診を受ける際に選択できる検査方法に、乳腺エコーがあります。ここからは、乳腺エコーの検査方法や、検査をした際にわかる所見を紹介します。

乳腺エコーの概要と検査方法

乳腺エコーとは、超音波を用いて乳房の内部を検査する方法です。検査を行う際は、まず、乳房にジェルを塗り、その上から超音波検査機器のプローブと呼ばれる専用器具をあてます。プローブから発せられた超音波が人体の内部にあたり、跳ね返ってきた超音波をプローブが受信します。跳ね返りの強さを使用して、体の内部を画像化する仕組みです。超音波は、人間が聞き取れないほど高音の音を使用しており、痛みや被ばくすることもないため、気兼ねなく検査を受けられます。乳腺エコー検査では、乳房の中にあるしこりを発見できます。また、しこりの大きさや、しこりが良性か悪性かなど、ある程度判断することが可能です。

乳腺エコーで見つかる所見

ここからは、乳腺エコーで見つかる所見を7つ紹介します。

乳腺症

乳腺症とは、乳腺エコー検査で乳腺が白と黒のまだらに見えたり、良性のしこりができたりする状態を指します。乳腺症に対して、特段治療は行われません。

乳腺のう胞

のう状に広がった乳管の中に、水がたまった状態を乳腺のう胞と言います。袋状になった乳管に水分があるだけなので、基本的に治療はされません。

乳管拡張症

乳管が広がった状態のことを乳管拡張症といいます。乳管拡張症の原因には、授乳や炎症、腫瘍などがあります。乳管が拡張した理由に問題がない場合は、カルテに乳管拡張症と記されるでしょう。

腫瘤

乳房の内部に、通常ある細胞とは違う組織の塊があることを指します。腫瘤には良性と悪性がありますが、乳腺エコー検査では良性か悪性かまでは判断できません。そのため、別途精密検査が必要です。

石灰化

乳房にカルシウムが沈着し、乳腺エコー検査を行った際に、点や線のように映る状態です。石灰化する原因はさまざまあり、基本的には良性とされていますが、がんが関連しているケースもあるため、注意が求められます。

乳頭腫

乳管表面の細胞が盛り上がり、乳頭から分泌物が発生します。初期の乳がんと見分けが難しいため、精密検査が必要です。

乳腺線維腺腫

良性のしこりで、触ると動きます。30代くらいの女性によく見られますが、サイズが小さい場合は、治療を行わず経過観察となります。

マンモグラフィ(MMG)とは乳房専用のレントゲン検査

乳がん検診では、乳腺エコーの他にマンモグラフィ(MMG)という検査も選択可能です。マンモグラフィの検査方法や、見つかる所見は次のとおりです。

マンモグラフィの概要と検査方法

マンモグラフィとは、乳房に特化したレントゲンです。胸部レントゲンの乳房版と表現したら、イメージがしやすいでしょう。マンモグラフィで乳がん検診を行うときは、乳房を可能な限り薄く広げないといけません。乳腺がよく撮影できるよう、二枚の板で乳房を固定し、乳房を4センチから5センチに伸ばします。この状態で、乳房を上下左右からレントゲン撮影します。撮影した画像を専門医が読影することで、乳がんなどの可能性を発見する仕組みです。乳房を薄くすると、変化が生じている部分を明確に把握でき、かつ放射線の被ばく量を減らすことが可能です。マンモグラフィは、乳がんの初期症状の発見に有用ですが、乳房を挟んで伸ばすため、痛みを感じる方もいます。

マンモグラフィで見つかる所見

ここからは、マンモグラフィで見つかる所見4つを紹介します。

石灰化

乳房の中にカルシウムが沈着すると、沈着した部分が点や線のように映ります。良性と悪性、どちらでも見られる症状のため、点や線の部分の広さや形状をもとに見定めて、診断します。

腫瘤

腫瘤は、白い塊が影として映ります。石灰化と同様に、良性と悪性、両方の可能性が考えられるため、腫瘤の場合はさらに詳細な検査を行い診断します。

局所非対称陰影

腫瘤のように、塊として明確な形状の境界線がない影を指します。良性のケースと悪性のケース、ともに考えられます。

乳腺濃度

乳腺濃度は病気ではありません。しかし、乳腺濃度が高い場合、マンモグラフィでは所見を見落とすケースがあるため、乳腺エコーと合わせた検査が勧められます。

乳腺エコーとマンモグラフィの違い

乳腺エコー_マンモグラフィ(MMG)_違い.jpg これまで、乳腺エコーとマンモグラフィの検査方法の違いや、見つけやすい所見の違いなどを解説してきました。ここからは各検査方法のメリットやデメリットを説明します。

乳腺エコーのメリットとデメリット

乳腺エコーのメリットは、被ばくや痛みがなく、体に負担が少ない検査方法です。被ばくの心配がいらないため、妊娠している方や妊娠している可能性がある方でも受検可能です。また、しこりの有無の確認方法として優秀であり、マンモグラフィでは分かりにくいケースでも、発見に至ります。一方、プローブを使用して少しずつ検査を進めるため、乳房全体を一気に確認できません。乳腺エコーでは、マンモグラフィと比較して、石灰化の確認が難しいと言われています。

マンモグラフィ(MMG)のメリットとデメリット

マンモグラフィ(MMG)は、科学的に乳がんの死亡率を低下させると認められており、乳腺エコーでは見つけにくい石灰化や小さなしこりをはじめ、初期の病変を発見できる点がメリットです。他にも、乳房の全体を一気に確認できる点もメリットといえるでしょう。しかし、マンモグラフィを受けるときに、乳房を薄く伸ばすため、痛みを覚える方もいます。また、被ばくする可能性があるため、検査をためらう方もいるでしょう。

乳がん検診で検査方法を選択するときのポイント

乳がん検査で、乳腺エコーかマンモグラフィのどちらを選択するべきか迷ったときは、年齢が一つの判断基準に挙げられます。

40歳未満の方は乳腺エコー

40歳が乳がん検診で、乳腺エコーかマンモグラフィかを選択する境界年齢です。40歳未満の方は、しこりの有無の確認方法として優秀な、乳腺エコーが推奨されています。年齢が40歳未満の場合、乳腺の発達により乳腺密度が高いため、マンモグラフィでは画像全体が白くなり、異常の検出が分かりにくいためです。乳腺密度により病変の把握が難しい40歳未満の方は、乳腺エコーを選択するとよいでしょう。乳腺エコーは超音波検査のため、被ばくのリスクがなく、妊娠中の方も受検可能です。40歳未満だからといって、乳腺エコーを受けないのではなく、定期的な検査が望まれます。なぜなら、乳がんに罹患した方と血縁関係がある場合や、遺伝的に乳がん発症リスクがある方がいるためです。

40歳以上の方はマンモグラフィ

40歳以上の方は、マンモグラフィが推奨されています。年齢が40歳を超えると乳腺が少なくなるため、マンモグラフィを用いた方が異常の検出に有用だからです。マンモグラフィは、乳房を可能な限り薄く伸ばして検査をするため、痛みを感じるケースがあります。特に、月経が始まる前に乳房が張る方は、張りが治まる時期、月経が始まってから10日後くらいに受けると痛みは軽減するでしょう。乳がん検診は、マンモグラフィと乳腺エコーの両者の検査が望まれますが、体の状態などに応じて、医師や病院のスタッフに相談して選択するとよいでしょう。

乳がん検診は自分の年齢で検査方法の選択を

乳がん検診の方法には、乳腺エコーとマンモグラフィがあり、それぞれ特徴が異なります。乳腺エコーは、40歳未満の方向けの検査方法で、超音波を用いた検査で体の負担が少なく、しこりを確認できる手段として有効です。一方、マンモグラフィは40歳以上の方向けで、小さなしこりや石灰化をはじめ、初期の異常検出が得意な検査方法です。

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