オンライン診療はどうやって導入するの? 必要な手続きやメリット・デメリットを解説

オンライン診療はどうやって導入するの? 必要な手続きやメリット・デメリットを解説
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目次

オンライン診療とは、医師と患者さんがパソコンやスマートフォンでビデオ通話を行うことで、遠隔診療ができる仕組みです。医療機関で導入するためには、事前にいくつかの手続きが必要です。

本記事では、オンライン診療を導入する方法や、導入により生まれるメリット・デメリットを解説します。オンライン診療の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

医療機関でオンライン診療を導入する流れ

医療機関でオンライン診療を導入する流れは以下の通りです。

  • オンライン診療システムを導入する
  • 必要な機材を購入する
  • オンライン診療研修を受講する
  • 患者同意書や診療計画を作成する
  • 地方厚生局へ保険診療の届出をする
順序は各医療機関の状況に合わせて柔軟に変更したり、同時並行で進めたりしても問題ありません。

オンライン診療システムを導入する

オンライン診療を実施できるシステムには以下の2つがあります。
  • 通話アプリ(汎用サービス)
  • オンライン診療システム

通話アプリ(汎用サービス)

医療の現場だけではなく、さまざまな場面で利用される通話アプリを導入するのが一つの方法です。Zoomなどの通話アプリを使うメリットは、低コストで手軽にオンライン診療を導入できる点です。ただし処方箋作成や決済などオンライン診療に必要な機能は含まれていないため、別途処理する必要があります。また医療用のサービスではないことから、万が一情報漏洩などの問題が起きても、アプリの提供事業者は責任を負いません。 なおオンライン診療では視覚・音声情報をリアルタイムでやり取りできる必要があります。チャット機能のみのアプリは対象外のため注意しましょう。

オンライン診療システム

オンライン診療システムとは、予約や問診票・処方箋の作成、決済などオンライン診療に必要な機能を備えた専用のシステムです。多くの事業者では、専任担当者が導入前・導入後のサポートを行っているため、困ったことがあればすぐに相談でき、利便性が高いというメリットがあります。 注意点は、導入費用や月額利用料などのコストが発生する点と、システムにより利用できる機能が異なる点です。いくつかのシステムを比較して選んでみてください。

必要な機材を購入する

オンライン診療では、インターネットと接続できる通信端末が必要です。具体的にはパソコンの他にタブレットやスマートフォンなどが挙げられます。これらの端末にマイクやカメラが付いていないときは、別途購入が必要です。またオンライン聴診を行う際は、ヘッドフォンがあると良いでしょう。

オンライン診療研修を受講する

オンライン診療を行う医師は、厚生労働省が定める「オンライン診療研修」(無料)を受けることが義務付けられています(※)。受講には事前申し込みが必要で、その際は「医籍登録番号」と登録日付の入力が必須となっています。 詳細や申し込みは以下を確認してください。
https://telemed-training.jp/entry

※参考:厚生労働省・日本医師会.「オンライン診療研修実施概要」

患者同意書や診療計画を作成する

オンライン診療は誰にでも行えるわけではなく、希望する患者さんに対して実施する旨を説明し、医師と患者さんの間で合意を得なければいけません。同意は口頭ではなく、以下の書類を作成して得る必要があります(※)。
  • オンライン診療の診療計画
  • オンライン診療の同意書
これらのひな形を作成しておきましょう。診療計画に記載が必要な内容は以下資料の16ページを確認してください。

https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000901835.pdf

※参考:厚生労働省.「オンライン診療の適切な実施に関する指針」P18.

地方厚生局へ保険診療の届出をする

オンライン診療を保険診療で行うときは、以下の書類を管轄の地方厚生局に届け出る必要があります。書類は各地方厚生局のホームページからダウンロードできます(※1)。
  • 基本診療料の施設基準等に係る届出書
  • 情報通信機器を用いた診療に係る届出書添付書類
施設基準は厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針(※2)」に則る他、対面診療を行えること、他の医院と連携して対応できることなどが必要です。
※1参考:北海道厚生局.「基本診療料の届出一覧」.

※2参考:厚生労働省.「オンライン診療の適切な実施に関する指針」P18.

オンライン診療を導入する医療機関側のメリット

オンライン診療を導入する医療機関側のメリットは以下の通りです。
  • 患者集客を強化できる
  • 通院率が向上する
  • 在宅医療の負担を軽減できる
  • 院内感染を軽減できる
オンライン診療では他県に住んでいるなど、今までは想定できなかった患者層にもアプローチでき、集客強化が期待できます。また通勤や通学で忙しかった患者さんにオンライン診療を勧めれば、継続率の向上が期待できます。 在宅医療とオンライン診療を組み合わせれば、医師は訪問負担の軽減ができるだけでなく、容態の変化があれば、すぐに診察を行うことも可能です。 感染症の流行時は可能な患者さんにオンライン診療を選択してもらうことで、院内感染リスクが低減できます。通院患者だけでなく医療従事者の健康も守れるため、医療の提供体制の維持が可能です。

オンライン診療を導入する患者側のメリット

オンライン診療を導入する患者さん側のメリットは以下の通りです。
  • 居住場所を問わず受けたい医療を受けられる
  • 病院受診時のストレスが軽減する
  • 自宅で処方箋や薬を受け取れる
離島に住んでおり近くに病院がない、引っ越したため以前の病院を受診できないなど、患者さんの居住地により医療の選択肢には大きな差が生まれます。オンライン診療の導入が進めば、患者さんはどこに住んでいても、自分の選択で受けたい医療を受けられます。 またオンラインであれば、病院への移動時間や待ち時間、院内感染のリスクなど、受診時に生じる多くのストレスの軽減が可能です。自宅でリラックスして待てるため、高熱を出しているときや、子どもが小さいとき、家族の付き添いが必要な高齢の患者さんも利用しやすいでしょう。 オンライン診療で処方された薬は、処方箋または薬が自宅に届く方法が主流です。処方薬が届く方法であれば、忙しくて調剤薬局の受付時間に間に合わない患者さんも無理なく投薬治療を続けられます。

オンライン診療導入時の注意点

オンライン診療を導入するときは以下の点に注意が必要です。
  • 患者さんによっては受診が難しい
  • 通信環境によっては診断がスムーズに進まない
  • オンライン診断が適さない病気がある
  • 対面診療に比べ診療報酬が低い

オンライン診療はある程度デジタル機器に慣れていないと受診が難しく、高齢者が多い医療機関では導入しても普及しない恐れがあります。また動画の画質や音声は患者さんの通信環境にも依存するため、音声が途中で途切れるなどしてスムーズに診察できないこともあるでしょう。

直接の定期的に血液検査などが必要な病気や急性疾患など、診療科によっては導入自体が難しいケースもあります。

なお診療報酬は診療報酬制度の改定により年々引き上げられているものの、現在は対面診療よりもオンライン診療の方が診療報酬は低いです。将来的な診療報酬点数の増加や、利便性向上による患者数の増加、オンライン診療システムの導入コストなどを比較し、導入を検討しましょう。

オンライン診療の導入は医療機関にも患者にもメリットがある!

ビデオ通話機能を使い遠隔で診療ができるオンライン診療は、患者さんだけでなく医療機関にも導入メリットがあります。導入する際は必要なシステムを検討し、必須研修を受ける、地方厚生局へ届出を提出するなどの手続きが必要です。なおオンライン診療は在宅医療とも相性の良い仕組みといえるでしょう。

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