電子カルテとは?特徴や導入するメリット・デメリットを徹底解説

公開日: 2025年8月29日 14:14

電子カルテとは?特徴や導入するメリット・デメリットを徹底解説
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目次

医療現場において、業務効率化やペーパーレス化を推進する「電子カルテ」の導入は、今や避けて通れない課題です。 本記事では、電子カルテの基礎知識から、紙カルテとの詳細な違い、導入によるメリット・デメリット、システムの分類、そして導入に向けた具体的なステップまで解説します。

1. 電子カルテとは

電子カルテとは、従来医師が診療の経過を手書きで記入していた「紙カルテ(診療録)」を電子的なシステムに置き換え、電子情報として一括して編集・管理し、データベースに記録するシステム、またはその記録そのものを指します。 電子カルテは大きく分けて「病院向け」と「診療所(クリニック)向け」が存在します。入院機能や部門機能の有無、医事会計システム(レセコン)との連動性などが異なるため、検討の際は自院の形態に合わせた選択が必要です。 現在、新規開業する医療機関のほとんどが開業時に電子カルテを導入しており、医療現場のスタンダードとなっています。

紙カルテと電子カルテの違い

紙カルテと電子カルテの違い

項目ごとに、紙カルテと電子カルテの具体的な特徴を比較すると以下のようになります。

項目紙カルテ電子カルテ
記入方法手書きで記入パソコンやタブレットで入力
保存方法原紙(紙媒体)で保管電子データとしてサーバー等に保管
共有の可否一度に1人しか使えない複数のスタッフで同時に共有・閲覧が可能
読みやすさ書く人の筆跡に左右され、読みにくい場合があるデジタルデータのため、誰でも均一に読みやすい
保管場所法令遵守のための膨大な物理スペースが必要物理的な保管場所はほぼ不要
情報の反映記載した場所でしか確認できない入力後、即座に院内の各端末へ反映される

電子カルテの普及状況(2023年最新データ)

厚生労働省の調査によると、電子カルテの普及率は年々上昇しています。 一般病院全体: 65.6%(2014年の34.2%から約10年で倍増) 400床以上の一般病院: 93.7%(ほぼすべての病院が導入済み) 200床未満の一般病院: 59.0%(2014年比で2倍以上に増加) 一般診療所: 55.0% 厚生労働省は2025年1月の刷新方針において、電子カルテ情報の標準化と段階的な普及をさらに加速させる方針を示しており、今後小規模病院や診療所での導入がさらに重要視されています。

2. 電子カルテを導入するメリット

電子カルテの導入は、単なる「デジタル化」に留まらず、病院経営や患者サービスの質を根本から変える多くの利点をもたらします。

① 業務効率の大幅な向上

  • 事務作業の軽減: 紙カルテを探す、運ぶ、戻すといった物理的な作業がなくなります。
  • 会計時間の短縮: 診療内容が即座にレセコンへ伝達されるため、会計待ちの時間が大幅に改善されます。
  • 文書作成の効率化: 診療情報提供書などの書類作成時、カルテ内容を引用・コピーすることで作成時間を大幅に短縮できます。
  • オーダリングシステム: 処方、注射、検査などの医師の指示が、入力と同時に各部門へ伝わります。

② 検査結果・画像データの統合管理

  • リアルタイム確認: 検査会社に依頼した結果を直接取り込んだり、オンラインでアップロードされた結果を画面上ですぐに確認したりできます。
  • 紐付けミス防止: 血液検査、エックス線画像、エコー画像などの別保管になりがちなデータを患者情報と紐づけて一元管理できるため、情報の取り違えリスクが低減します。

③ 物理的スペースの有効活用(ペーパーレス化)

  • 保管義務の解消: 医師法第24条により、カルテは診療完了日から5年間の保存が義務付けられています。数千、数万人の患者を抱える医療機関にとって、この保管スペースの確保は大きな負担ですが、電子化によりこの課題が解消されます。
  • 劣化防止: 紙のように破損、汚損、経年劣化による文字の消失を心配する必要がありません。

④ 伝達ミス・事故の防止

  • 判読性の向上: 医師特有の筆跡を読み解く必要がなくなり、看護師や薬剤師、事務スタッフが的確に指示を把握できます。
  • チェック機能: テンプレート機能や入力支援機能を活用することで、記載漏れや重複処方などのミスを未然に防ぐことが可能です。

⑤ 患者満足度の向上(待ち時間改善と説明の質)

  • プロセスの高速化: 「診察」「検査」「会計」の各プロセス間のデータ移動が瞬時に行われるため、トータルの待ち時間が短縮されます。
  • 視覚的なインフォームド・コンセント: 検査画像やシェーマ(身体の図)をモニターに映し出し、視覚的な情報を補足しながら説明できるため、患者の理解度が深まります。

⑥ スムーズな情報共有と地域連携

  • 同時閲覧: 医師がカルテを入力中に、受付で処方箋の準備を始めるといった並行作業が可能です。
  • 外部連携: 地域医療連携システムを導入している場合、他の医療機関とスムーズに診療情報を共有し、質の高い継続的な医療を提供できます。

3. 導入に伴うデメリット

導入に伴うデメリット メリットが多い一方で、導入前には以下のデメリットについても十分に理解し、対策を講じる必要があります。

① 操作への習熟と教育コスト

  • 学習時間: スタッフ全員が操作に慣れるまで一定の期間が必要です。
  • 入職時研修: 新しいスタッフが入職した際に操作に慣れて独り立ちできるまでは研修コストが発生します。

② 運用の変更と統制の必要性

  • テンプレート化: 記載内容のバラツキを抑えるため、運用ルールを統一し、テンプレートを整備する必要があります。
  • 帳票の見直し: これまで使用していた紙の帳票が使えなくなる場合があり、代替手段の構築が必要です。

③ 停電・システム障害時のリスク

対策として、停電やシステム障害が発生した際でも診療を継続できるよう、一時的な紙カルテ運用への移行シミュレーションの定期的な実施をおすすめします。あわせて、予備のバックアップ体制を日頃から万全に整えることで、不測の事態におけるダウンタイムを最小限に抑え、医療サービスの安定供給を維持しましょう。
  • 電力依存: 停電や電力供給の不安定な状況では利用できません。
  • 通信依存: クラウド型等の場合、ネットワークが遮断されると閲覧できなくなるリスクがあります。

④ 導入・運用コストの発生

用紙を購入するだけで使える紙カルテとは異なり、電子カルテには導入・運用費用が必要です。 電子カルテの導入にかかる費用は、システムの形態や設定、必要な機能によって変わります。
  • 補助金の活用: 「医療提供体制設備整備交付金」や「IT導入補助金」、自治体独自の支援策などの活用を検討することが推奨されます。

4. 電子カルテの3つの種類と特徴

システム構成により、主に「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」の3種類に分けられます。

① クラウド型

インターネット回線を通じて、メーカーのデータセンターにあるシステムを利用する形式です。

サーバー企業のサーバーを利用
利用可能な場所インターネットにつながる場所
セキュリティ対策が必要
カスタマイズ基本的に不可、他システムとの連携によって拡張性は変動する
価格形態サブスクリプション
サポート形態オンラインでの対応が多い傾向にある

② オンプレミス型(院内設置型)

院内に専用のサーバーを設置して運用する形式です。

サーバー院内にサーバーを設置
利用可能な場所基本的に院内のみ
セキュリティインターネットにつながなければリスクは低いが、不正アクセスやデータの改ざんへの対策は必要
カスタマイズ自由度が高い
価格形態パッケージ価格(数年ごとにアップデートが必要な場合がある)
サポート形態導入初期のサポートが手厚い傾向にある

③ ハイブリッド型

院内サーバーとクラウドサーバーの両方を併用する形式です。

サーバー院内サーバーと企業サーバーを併用
利用可能な場所設定をすれば院外でも利用できる
セキュリティマルウェア対策や不正アクセス、データの改ざんへの対策が必要
カスタマイズある程度の柔軟性はあるが、オンプレミス型よりもフォーマット化されている傾向にある
価格形態一括導入のパッケージ価格タイプと初期費用+サブスクリプションのタイプに分かれる
サポート形態製品によって異なる

5. 電子カルテ(電子保存)の三原則

電子カルテを導入・運用する際、医療機関は厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に定められた以下の三原則を遵守する義務があります。

■ 見読性

電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできることである。

ただし、見読性とは本来「診療に用いるのに支障が無いこと」と「監査等に差し支えないようにすること」であり、この両方を満たすことがガイドラインで求められる実質的な見読性である。

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)

■ 真正性

正当な人が記録し確認された情報に関し第三者から見て作成の責任の所在が明確であり、かつ、故意または過失による、虚偽入力、書き換え、消去、及び混同が防止されていることである。

なお、混同とは、患者を取り違えた記録がなされたり、記録された情報間での関連性を誤ったりすることをいう。

「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)

■ 保存性

記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されることをいう。

引用:「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)

6. 導入までの具体的なスケジュールと流れ

電子カルテの検討から稼働開始までは、一般的に2ヶ月〜6ヶ月、状況によってはそれ以上の期間を要します。

ステータス具体的な作業内容
情報収集各メーカーのシステムの特徴、費用などの情報を公式Webサイトや問い合わせなどで確認
現状把握院内で使用しているシステム、ネットワークの状況、サーバー設置場所の有無などを把握。画像データの運用状況も調べる電子カルテを導入する目的をまとめる
システム選定院内でプロジェクトチームを結成電子カルテの使用開始時期、予算などの大枠を決める自院での運用に必要な機能をまとめた仕様書を作成仕様書に基づいて各メーカーの製品を比較する。機能、シェア、サポート体制、自院での操作性や運用性などを検討複数メーカーから相見積を取り、所要期間を確認自院に合うメーカーを選び、スケジュールやサポート内容など詳細を擦り合わせて契約
導入準備契約内容をプロジェクトメンバーで共有し、電子カルテの具体的な業務の流れを検討メーカーと協力しながら、処方や検査などのメニュー、カルテの書式などを自院に合わせて設定スタッフ全員が電子カルテを操作できるように研修・トレーニングを実施稼働開始2~4週間前にリハーサルを行い、運用プロセスや問題点を確認
稼働開始稼働開始日はメーカーのスタッフにサポートを依頼する稼働開始後は各部署のフィードバックを集め、システムを最適化させる

7. まとめ

電子カルテは、これからの地域医療連携や医療DXにおいて欠かせないインフラです。利便性や価格だけでなく、「三原則」への適合性、将来的な拡張性、そしてメーカーの事業継続性を総合的に判断することが、成功への鍵となります。 セコム医療システムでは、2001年からクラウド型電子カルテのパイオニアとして培ったノウハウと、セコムグループならではの高セキュリティを兼ね備えたソリューションを提供しています。導入のみならず、運用後のサポートまで含め、医療機関の皆様のパートナーとして最適な環境構築を支援いたします。

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