医師やスタッフのQOLを高めるには、クラウド型電子カルテが必須
全国から注目を集める"四日市モデル"
全国トップクラスの看取り件数を誇る「医療法人SIRIUS いしが在宅ケアクリニック」。がんや難病、介護難民などの在宅療養が難しい患者を積極的に引き受けている。
「地域の在宅看取りを推進するには、救急医療と同じように、症状の重さに応じた医療機関の役割分担が必要です。医師会やかかりつけ医の先生方には比較的症状の軽い患者を、当院のように複数医師がいる医療機関が重症度の高い患者を引き受けることで効率性と医療の質を担保しています」(石賀理事長・院長)
開業医の大半は常勤医師一人であるため、がんや難病の患者を在宅で看取るのは難しい。同院で重症度の高い患者を引き受けるのは、地域のかかりつけ医にとってもメリットであり、在宅医療におけるスムーズな連携体制の構築に成功した。その結果、三重県四日市市の在宅看取率は全国屈指の約30%まで上昇。"四日市モデル"と呼ばれ、厚生労働省をはじめ全国の医療関係者から注目を集めている。
診療効率と医師のQOL向上に貢献する「セコムOWEL」
年間300件の看取りを実現する同院では、医療の効率性の向上に加え、現場の医師が疲弊しないための仕組みづくりが重要になる。同院では、2016年12月にクラウド型電子カルテ「セコムOWEL」を導入。診療効率と医師のQOLの向上に大きく貢献しているという。
「オンコールの医師は基本的に自宅で待機していますが、クラウド型電子カルテならそのまま患者さん宅に向かうことができます。以前は院内サーバー型だったため医院への立ち寄りやデータ移行にかなりの時間と労力がかかっていました。それがなくなったことで飛躍的に効率があがり、医師の負担も軽減されました」(門間副院長)
予想以上と絶賛するwebFAX機能
セコムOWELを実際に使用した中で「予想以上に使い勝手がいい」と絶賛されているのがwebFAX機能だ(別途契約が必要)。
「往診先からでも、処方せんや紹介状などをセコムOWELの画面から直接FAXできます。たとえば、薬局に処方せんをFAXしておけば、薬局側は前もって薬を準備できます。薬を取りに行く患者さんの待ち時間も減り『負担が少なくなった』と喜ばれています」(石賀理事長・院長)。独居老人や老老世帯が多いこともあり、そのメリットは大きいという。
効率性だけでなく、医療の質の向上にもつながっている。「調剤薬局によっては、FAX内容を即座に確認し症状に合わせて他の薬を提案してくれることもあります。これは、常勤の薬剤師がいるのと同じ状況だと言えます」(門間副院長)
過去のインタビューからの抜粋のため、文体もそのまま掲載しています