導入事例

お客様の声をご紹介します。セコムOWELの導入にお役立てください。

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神島診療所 小泉圭吾院長
在宅・外来

常駐ではなく複数の医師で支え合うグループ診療というかたち

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「へき地医療」の課題を解決する新しい仕組み


三重県鳥羽市・神島は本土から約14kmに位置する離島で、人口は325人(2021年1月時点)。
この島の医療を担っているのが、鳥羽市立神島診療所だ。

小泉圭吾院長は、自治医科大学卒業後に神島でへき地医療に携わった。
その後は全国各地でへき地医療から都心の先進医療まで幅広く研さんを積み、15年に同院院長として再び神島へと戻って来た。

当初は島内に常駐していたが、現在は本土から毎日通勤し、週2回泊まりで夜間診療に対応している。
そんな小泉院長は、神島での診療で感じた、これからのへき地医療の課題について、次のように語る。

「神島のような人口の減少が進む本土から近距離の離島では、医師が島の診療所に常駐する従来の体制は、医療資源や財政の面からも非効率になっていくと考えます。実際に、神島での1日の患者数や夜間の受診件数は年々減っており、疾患も慢性疾患が主になりつつあります。そのため、ひとりの常駐医師がひとつの島を"点"で支えるよりも、複数の医師で離島を含むへき地全体を"面"で支える、今よりも少人数で効率よく医療を提供できる仕組みをつくる必要があると思いました」
こうした問題意識や実現すべきビジョンは鳥羽市とも共有が図られた。

20年、同院を含む市立診療所7院とセコム医療システム株式会社の共同プロジェクトとして、国土交通省の離島振興事業に採択されたのが、「バーチャル鳥羽離島病院実証プロジェクト」である。
これはICTを活用し、鳥羽市の離島4島の診療所と本土の診療所をオンラインでつなぎ、グループ診療・多職種連携の体制を構築するというもの、医師が常駐せずとも必要な診療を可能にすることで、島民の安心に担保するとともに、医師不足のなかでも医療資源の効率的な運用を目指すことが狙いだ。

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直感的に操作できるクラウド型電子カルテ


プロジェクトの仕組みづくりで最重要課題は、各診療所をつなぐオンラインシステムの構築だった。
医師が本土・離島を問わずいつでも患者の情報を参照できる体制を整備するには、紙カルテやオンプレミス型の電子カルテでは不適切で、クラウド型電子カルテの導入が必須となる。そこで採用されたのが、電子カルテ『セコムOWEL』だ。

「さまざまなクラウド型電子カルテがありますが、『セコムOWEL』は非常に性能が良いとの評判で、今回の事業でセコム医療システム社に参画いただいたのは、まさに渡りに船でした」と、小泉院長は振り返る。

オンラインシステムの中身は至ってシンプルだ。
参画する7診渡所にPCやタブレットなどの専用端末を配布し、『セコムOWEL』と同社の遠隔診療支援プラットフォーム『セコムVitalook』を利用できる環境を整備した。例えば、医師が悪天候などで離島に渡れない時は、島民は島の診療所に来院し、専用タブレットから本土にいる医師のオンライン診療を受けられる。医師側もカルテを確認のうえ、診察から処方まで対応可能だ。

さらに、夜間診療や在宅患者の場合は、島の常駐看護師が専用タブレットと携帯型検査機器を持って島民宅へと訪問。いわゆる『D to P with N』のオンライン診療で、リアルタイムのバイタルサインを確認しながら診察することが可能となった。

実際に運用を始めた小泉院長は、「インターネットに接続できれば、マルチデバイスで離島でも本土からでも情報を参照カルテ入力できるのは非常に大きい」と評価する。
また、島民および医療従事者双方の高齢化が進んでいくなかで、シンプルで直感的に操作できるインターフェースも運用の助けになっているという。

「へき地医療」で『セコムOWEL』が大きな力に


クラウド型電子カルテによる相互参照体制は、各離島の診療体制に副次的な効果をもたらした。

従来は、各離島の診療所それぞれに独自のカルテ記載や業務フローの違いがあったが、今回医師全員にそれらがオープンになったことで、異なっていた要素の統一化が図られていき、カルテ情報の質の向上やフローの効率化につながった。まさしくプロジェクト名のとおり、診療所間に同じ「病院」で働くような一体感が生まれ、業務フローの準化が進んだ。『オンライン×離島医療の可能性』について、小泉院長は次のように話す。

「従来の離島医療のイメージは、『家族全員で離島に移住しなければならない』など、若手医師にとってはハードルの高いものでした。
しかし、今回のようなグループ診療の仕組みが広がれば、ひとりの医師が全部背負う必要もなければ、互いに支え合える仲間もできることが示されていくのではないかと思います」

そして、新たな離島医療の仕組みをほかの離島やへき地でも展開していく場合、いつでもどこでもカルテを参照できる『セコムOWEL』のようなクラウド型電子カルテの存在は、大きな力だと考えている。
「鳥羽市内の離島のようにそれぞれの診療所の距離が近い場合だけでなく、山間部など点間の距離が離れているへき地であっても、クラウド型電子カルテ『セコムOWEL』があれば、診療の質が向上することは間違いありません」

過去のインタビューからの抜粋のため、文体もそのまま掲載しています

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鳥羽市立神島診療所様

三重県鳥羽市の神島で唯一の医療機関。島民の高齢化が進むなか、外来診療から在宅医療まで、島民の医療と健康を一手に担っている。

小泉圭吾院長
本土からでも離島にいる患者の診察やカルテ情報の閲覧・入力ができる場所やデバイスを問わない利便性と、簡単で使いやすい操作性が魅力だ。