電子カルテの普及率や選定ポイントを紹介
患者様の診療記録(カルテ)をデジタル化した電子カルテは、カルテやレセプトの作成業務の効率化に欠かせないものです。 近年は、クラウド型の電子カルテを中心に、遠隔診療や地域医療連携の要にもなりつつあります。
この記事では、電子カルテの普及率や、導入するメリット・選び方について解説します。電子カルテシステムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
電子カルテの普及率は46%程度。新規開業により上昇傾向も
電子カルテシステムの市場規模は、2016年時点で2,334億円といわれ、2020年度には442億円増加し2,780億円に達すると予測されています。[注1]
2016年比で119%と市場規模は堅調な成長をつづけますが、電子カルテシステムの普及率自体はそれほど高くありません。病床数が多い医療機関では高いものの、一般病院・一般診療所全体では40%程度です。
一般診療所 | 一般病院 | 病床規模別 | |||
400床以上 | 200~399床 | 200床未満 | |||
2014年 | 35.00% | 34.20% | 77.50% | 50.90% | 24.40% |
2019年 | 41.60% | 46.70% | 76.90% | 48.50% | 33.10% |
しかし、2014年よりも一般病院・一般診療所共に増加傾向にあり、今後も医療のデジタル化が進むと見られています。その要因として、中小規模の病院への導入が加速していることや、新規開業クリニックの増加が挙げられます。
[注1] 株式会社シード・プランニング:電子カルテ/PACSに関する市場調査結果
電子カルテを導入する3つのメリット
電子カルテを導入することで、カルテやレセプトの作成業務が効率化され、院内で医療データを一元管理できるようになります。また、電子カルテデータを患者様に提示することで、治療方針の説明もしやすくなるのも利点です。
電子カルテでカルテ&レセプト作成を効率化
電子カルテには入力サポート機能があり、テンプレート・定型文・書式設定等によってカルテの入力を簡易化できます。
もちろん紙カルテと違いコピー&ペーストも可能です。
電子カルテからオーダ情報をレセコンに送信することで、レセコンでの入力の手間を大幅に削減するとともに、入力ミス・入力忘れの防止につながります。
データの一元管理&共有が可能
電子カルテシステムは、各種部門系システムへのオーダ連携・起動連携等がシームレスに実現できます。電子カルテシステムを通じ、患者様の情報を一元管理できるため、質の高い医療サービスを提供可能です。
診療情報のデジタル化により院内スタッフのデータ共有が容易になります。
タブレットでの情報閲覧やペーパーレス化により、医療現場がスピードアップするでしょう。
データ共有のメリットは、いつでもどこでも、そして同時に情報にアクセス可能という点です。タブレットは容易に携帯できることにより、PC設置場所まで行かずともデータ共有が可能となります。
患者様への「説明力」が向上し、より手厚いサポートを提供
電子カルテシステムを中心に、各種検査データや処方データがひとつの場所に蓄積されることで、患者様への「説明力」も向上します。
たとえば、電子カルテシステムを導入済みの医院では、診療情報の一部を説明資料としてモニターに表示し、治療方針を説明するケースもあります。実際の診療データを見てもらうことで、病気への理解が深まり、患者様の不安を解消することができるでしょう。
電子カルテ選びで失敗しない2つのポイント
電子カルテシステムは単独で運用するものではなく、レセコンと連動させて使うものです。導入したいレセコンとの互換性で選ぶのが原則ですが、大手メーカー製のものにはレセコンが一緒になったプラットフォーム型のシステムも存在します。
電子カルテ選びでは、次の2つのポイントを意識しましょう。
まずはクラウドかオンプレかを決める
従来はオンプレ型の電子カルテが主流でしたが、近年はSaaS型のクラウドサービスも登場しています。クラウド型の多くが導入の簡略化を目指しWEBを利用した契約や導入サポートを充実させている傾向があります。
クラウド型はイニシャルコストが安く、中小規模の診療所を中心に導入が進んでいます。
システムは基本的にデータセンターにて管理され、バージョンアップやデータバックアップも行っていただけます。院内に保管はせず別の所に保管されるため災害にも強くBCP対策にも有用です。
また、遠隔診療や地域医療連携など、医療サービスの新たな形態にも対応しています。一方、オンプレ型はハードウェアの購入が前提のため、初期費用が高くなるケースがあります。
電子カルテ選びは口コミも重要。サポート対応が選定のカギに
医療従事者による電子カルテの口コミやアンケートは、実際の使用感を探るうえで参考になります。日経メディカルが開業医248名を対象に行ったアンケートでは、電子カルテで不満を感じた点として、第1位に「サポート」が挙げられていました。[注2]
たとえば、故障やトラブルの対応が遅い、対応時間が短い、定期的な連絡がない、といった現場の声が上がっています。電子カルテ選びはサポート体制選びです。操作がわからない時の問い合わせや、トラブルが起きた時の対応などそれぞれどんな人がどのような手段で対応されるか確認しましょう。
[注2] 日経メディカル:使用中の電子カルテに対する不満、大暴露!
電子カルテの普及率は上がり続ける。電子カルテの導入で医療業務の効率化を
今回は、電子カルテの普及率や市場規模、選定ポイントについて解説しました。一般病院全体の普及率は46%程度と少ないですが、中小規模の病院や新規開業クリニックを中心に、電子カルテの導入が進んでいます。
電子カルテは医療業務の効率化や、遠隔医療・地域医療連携の推進に欠かせません。電子カルテの口コミも参考にしつつ、サポート体制が充実した製品を選びましょう。