歯周病は虫歯と並んで「歯科の2大疾患」と呼ばれる病気です。歯周病が進行すると歯が抜けやすくなるだけでなく、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった全身疾患の引き金になる可能性があります。
しかし歯周病は早期発見・早期治療が可能な病気でもあります。正しいブラッシングの習得や、喫煙や糖尿病などのリスクファクター(因子)の解消により、歯周病を予防することが可能です。
本記事では、歯周病の原因や症状、日頃から行える予防方法を解説します。
歯周病は、歯周病菌が歯と歯ぐきの隙間から侵入し、歯の周りの歯周組織を溶かしてしまう疾患を指します。厳密には、歯ぐき(歯肉)が炎症を起こす歯肉炎、歯を支える歯槽骨が溶ける歯周炎の2つを合わせて歯周病と呼びます。(※)
※厚生労働省.「歯周病とは」.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html,(入手日付2021_12_19)
歯周病菌は、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきの隙間から侵入し、歯周組織にダメージを与えます。この歯周ポケットは、45歳以上の人の過半数に存在するといわれています。
また歯肉になんらかの出血がみられる人は、全年齢層の約4割に達しています。(※)よく「国民の8割が歯周病」といわれるほど歯周病が広がっているわけではありませんが、加齢とともに歯周病のリスクが高まる点に注意しましょう。
※ 厚生労働省.「歯周疾患の有病状況」.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-004.html,(入手日付2021_12_19)
歯周病には、歯肉炎、軽度歯周病、中度歯周病、重度歯周病の4つのステージがあります。
歯肉炎 | 歯周ポケットに歯垢(プラーク)が溜まり、歯肉に炎症が起きている状態 |
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軽度歯周病 | 歯周ポケットが深くなり、歯肉に赤い腫れがみられる状態 |
中度歯周病 | 歯肉の炎症が広がり、出血や膿がみられる状態 |
重度歯周病 | 歯を支える歯槽骨が溶け、グラグラしている状態 |
歯周病のステージが進むほど健康な歯肉に戻りにくく、治療が困難になります。歯周病は早期発見・早期治療が可能な病気です。定期的に歯科検査を受診し、歯周病が進んでいないかチェックしましょう。
歯周病の元凶は、およそ400~700種類の細菌が食べ物の残りかすとくっついた歯垢(プラーク)です。
プラークの中には、1mgあたり約10億個の細菌が住みついているといわれています。プラークを除去せずに放置していると、歯周病菌が歯周ポケットに入り込み、歯肉の炎症を引き起こします。また、歯周病のリスクファクター(因子)と呼ばれる喫煙習慣や糖尿病にも要注意です。
歯周病を引き起こす主な原因を2つ紹介します。
毎日の歯みがきが十分ではないと、歯の表面のプラークを除去できず、プラークに含まれる歯周病菌が歯周ポケットに侵入します。
プラークを放置すると歯の表面で石のように固まり(歯石)、歯周病菌が歯周ポケットの奥深くに侵入しやすい環境が生まれます。
歯石ができた場合はブラッシングだけでは取り除けないため、歯科衛生士によるクリーニングが必要です。
歯周病の代表的なリスクファクターが喫煙と糖尿病です。例えばタバコの煙に含まれる一酸化炭素は、歯周病菌への酸素供給を阻害するため、歯周病を悪化させる要因になります。実際に喫煙者は非喫煙者と比較して、歯周病リスクが約3倍高いことがわかっています。(※)また糖尿病にかかると歯周病の進行スピードが早くなるため、生活習慣が乱れがちな人も要注意です。糖質やカロリーの多い食事を制限し、定期的に運動する習慣を身につけましょう。
※ 厚生労働省.「歯周疾患の有病状況」.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-004.html,(入手日付2021_12_19)
歯周病は日頃から定期的なメンテナンスを続けることで予防できる病気です。まずは正しい歯みがきの方法を習得し、歯周病を引き起こすプラークをきちんと除去しましょう。
ブラッシングのタイミングは毎食後すぐが理想的ですが、時間がとれない場合は寝る前のブラッシングだけでもしっかり時間をかけ、プラークを完全に取り除きましょう。正しい歯みがきの方法がわからない場合は、歯科クリニックなどでブラッシング指導を受けられます。
また定期的に歯科検査を受けることも大切です。歯周病はほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに症状が重くなってしまうケースもあります。歯科検査を受ける際に歯科衛生士のクリーニングを受ければ、ブラッシングでは落としづらい歯石も除去できます。
歯周病は、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に歯周病菌が侵入し、歯周組織を壊す疾患です。歯周病の特徴と原因は次のとおりです。
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