画像診断管理加算の算定とは?

画像診断管理加算の算定とは?
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診療報酬の算定にあたって、画像診断管理加算の方法に悩むケースがあります。 放射線領域の診療報酬は2022年に改定されるなど頻繁に改定が行われるため、最新の情報をチェックし正しい方法で算定を行いましょう。

本記事では画像診断管理加算の方法や条件について詳しく説明します。

画像診断管理加算算定とは放射線診断における診療報酬の算定のこと

医療機関等が行う画像診断の費用は、画像診断管理加算の算定によって処理されます。 一般的には医療機関等に在籍する放射線診断専門医が画像診断を行った場合に算定が可能です。 条件が揃っていれば、遠隔で画像診断等の処理を行った場合の算定も認められています。

画像診断管理加算の算定のためには、放射線診断専門医が画像診断を行う環境を構築する必要があります。

放射線診断専門医とは、規定の研修を修了した医師に与えられる資格です。 まずは放射線科に関して3年間の研修を受けた後、日本医学放射線学会が定める放射線診断専門医制度規定に沿った2年以上の研修を修了することで、放射線診断専門医の資格を得られます。

この研修では画像診断のほか、インターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)と呼ばれる画像下治療の知識や核医学に関する知識を学びます。 インターベンショナル・ラジオロジーは、X線透視やCTなどの画像ガイド下に体内を透かし、カテーテルや針を入れていく最新の治療法です。

細いカテーテルや針を使い画像とリンクさせて治療を進めるため、専門性の高い手法とされています。

なお、放射線診断専門医がいない場合でも、10年以上画像診断を専門的に行っている常勤の医師がいれば画像診断管理加算の算定が可能です。 ただし、この医師が勤務時間の大部分を画像診断の撮影や読影に充てている場合に限られます。

これらの医師が地方厚生局長等に届出を行った場合に限り、画像診断管理加算の算定が認められます。

画像診断管理加算は放射線診断医の読影料であり、コンピュータ断層診断などの領域が含まれないようなイメージがあるでしょう。 これは、画像診断管理加算の算定ルールが旧厚生省の時代に定められたためです。

現在ではコンピュータ断層診断、電子カルテオーダリング、遠隔画像診断など多才な技術が取り入れられ、画像診断管理加算に対する考え方も変化しつつあります。

画像診断の技術の進化に伴い、画像診断管理加算のルールも頻繁に更新されています。 画像診断管理加算の算定を行う際には、最新の算定基準を参照しましょう。

画像診断管理加算の算定方法

画像診断管理加算の算定方法 画像診断管理加算の算定には、画像診断管理加算に関する施設基準を取得する方法と、遠隔画像診断で算定する方法の2つがあります。 施設基準を取得する方法は、条件ごとに3つの項目に分けられています。

それぞれの算定方法の概要やポイントを見ていきましょう。

1. 施設基準に応じた算定方法

医療施設等において画像診断管理加算を算定する際は原則として、常勤の放射線診断専門医を配置することになります。 画像診断管理加算の施設基準には1から3までの範囲があり、それぞれ点数や条件が異なります。

画像診断管理加算1から3までの詳しい条件は以下のとおりです。

画像診断管理加算1

画像診断管理加算1の点数は70点となります。[注1] 放射線科を掲げている保険医療機関であり、常勤の放射線診断専門医が1名以上配置されていれば、画像診断管理加算1の算定が適用となります。

ただし、他の施設に画像の読影または診断を委託している場合には適用外となるので注意したいものです。 対象の点数区分は写真診断、基本的X線診断、核医学診断、コンピュータ断層診断となります。

[注1]厚生労働省:令和2年度診療報酬改定について(参照 2022-08-23)

画像診断管理加算2

画像診断管理加算2の点数は180点に設定されます。[注1] 放射線科を掲げている病院であることや、常勤放射線診断専門医が1名以上配置されていることが加算の条件です。

常勤放射線診断専門医はすべての核医学診断、CTやMRI撮影を担当管理している必要があります。 また、在籍する常勤放射線診断専門医が、核医学診断やコンピュータ断層診断の8割以上を翌診療日までに処理し、主治医への報告も条件となります。

画像診断管理加算1と同じように、他の施設に読影または診断を委託している場合には対象外となるので注意しましょう。

また、MRI装置の安全管理の遵守も、画像診断管理加算2を適用させるための条件の一つとされています。 画像診断管理加算の対象点数区分は核医学診断やコンピュータ断層診断です。

画像診断管理加算2では180点の点数のほか、撮影料も一部機器加算されます。

[注1]厚生労働省:令和2年度診療報酬改定について (参照 2022-08-23)

画像診断管理加算3

新設された画像診断管理加算3の点数加算は300点となっています。[注1] 画像診断管理加算3は放射線科を掲げている特定機能病院で、常勤の放射線診断専門医が6名以上配置されている場合に限り適用となります。

6名以上の専門医が、核医学診断やコンピュータ断層診断の8割以上の読影を翌診療日までに主治医に報告していれば、画像診断管理加算の算定が可能です。

画像診断管理加算3には他にもいくつかの条件があり、全てを満たしていなければなりません。

たとえば夜間や休日にも読影が行えること、すべての核医学診断やCT撮影、MRI撮影について検査前の画像診断管理を行えること、他の施設に読影や診断を委託していないことなどが条件となります。

また、関係学会の指針に基づいてMRI装置の安全管理を遵守していることや、被ばく線量管理をしていることも重要な条件です。 つまり、画像診断管理加算3は大きな病院等に限り適用されるということになります。

[注1]厚生労働省:令和2年度診療報酬改定について (参照 2022-08-23)

2. 遠隔画像診断による算定方法

画像診断管理加算を算定するためには常勤放射線診断専門医の在籍が原則となります。 ただし、遠隔画像診断のシステムが構築されていれば、常勤の放射線診断専門医が必ずしも在籍する必要はありません。

この場合には、病院同士が連携するシステムの構築が必要となります。

遠隔画像診断による画像診断管理加算の算定を活用することで、画像診断管理加算の算定ができるようになります。 病院同士の連携は、専用システム同士のやり取りによって行うのが一般的です。

一つの保険医療機関が画像の撮影を行い、その後このデータは専用システムを使って別の保険医療機関に送付されます。 データを受信した保険医療機関に在籍する放射線診断専門医が画像診断を行い、次の診療日までに結果を通知します。

この方法であれば、放射線診断専門医がいない医療機関であっても遠隔依頼した画像診断管理加算を算定することが可能です。 ただしこの加算は、依頼先の保険医療機関で正規の放射線診断専門医が画像診断を行った場合に限られます。

画像診断管理加算の算定条件をしっかり把握しておこう

画像診断管理加算の算定は、医療機関等に在籍する放射線診断専門医による方法が主流でした。 しかし近年では、遠隔画像診断によって業務の効率化を図る例が増加しています。

遠隔画像診断を導入した場合でも、条件が揃っていれば画像診断管理加算の算定は可能です。 他医療機関と連携して画像診断等の業務を行う場合だけでなく、遠隔画像診断を専門に扱うICTを活用する場合にも適用できます。

今後、遠隔画像診断を導入するのであれば、画像診断管理加算の算定条件を詳しく把握しておきましょう。