健康寿命とは?平均寿命との違いを解説

公開日:2023年2月6日

厚生労働省が行っている健康に関する調査では「健康寿命」と「平均寿命」という2つの指標が使われています。もとは平均寿命が使われていましたが、単なる寿命だけでなく生活の質(QOL)を考慮すべきという認識が広まり、健やかに生活できる期間を表す健康寿命に注目が集まりました。健康寿命と平均寿命にはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、健康寿命・平均寿命それぞれの意味や使い分けについて説明します。

健康寿命は日常生活に制限のない期間のこと

さまざまな媒体で目にする健康寿命とは、どういう意味の言葉なのでしょうか。厚生労働省が定義する健康寿命は、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。(※)

つまり病気などにかかることなく、健康で自立した生活を送ることができる期間を健康寿命と呼びます。ここでは健康寿命と平均寿命の違いや推移、健康寿命を延ばす重要性を解説します。

※出典:厚生労働省. 「平均寿命と健康寿命」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html, (入手日付2022/12/16).

健康寿命と平均寿命の違い

健康寿命と平均寿命は混同されることがありますが、まったく異なる指標です。日常生活に制限のない期間を表す健康寿命に対し、平均寿命は文字どおり「0歳における平均余命」、つまり0歳の時点から生きられる期間の平均を表す指標です。(※)

また健康寿命と平均寿命は算出方法も違います。平均寿命は、各年代の死亡率を計算し、0歳児が何歳まで生きられるか(平均余命)をシミュレーションして求めます。その成果が、厚生労働省が毎年公表している生命表です。一方、健康寿命は平均余命をさらに「健康な期間」と「不健康な期間」に分け、前者の平均を計算して求めています。

※出典:厚生労働省. 「平均寿命と健康寿命」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html, (入手日付2022/12/16).

健康寿命と平均寿命の推移

次に健康寿命と平均寿命の推移をみてみましょう。厚生労働省によると、2019年は男性が81.41歳、女性が87.45歳です。そして、同年度の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳となり、平均寿命と比較して約10年のギャップがあります。健康寿命も平均寿命も年々延びており、とくに男性のほうが上昇率が高くなっています。(※)

男性 女性
平均寿命 健康寿命 平均寿命 健康寿命
2001年 78.07歳 69.40歳 84.93歳 72.65歳
2004年 78.64歳 69.47歳 85.59歳 72.69歳
2007年 79.19歳 70.33歳 85.99歳 73.36歳
2010年 79.55歳 70.42歳 86.30歳 73.62歳
2013年 80.21歳 71.19歳 86.61歳 74.21歳
2016年 80.98歳 72.14歳 87.14歳 74.79歳
2019年 81.41歳 72.68歳 87.45歳 75.38歳

※出典:厚生労働省. 「平均寿命と健康寿命」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html, (入手日付2022/12/16).

健康寿命と平均寿命の差を縮めることが大切

長く健やかな生活を送るためには、平均寿命ではなく健康寿命を延ばす必要があります。健康寿命は平均寿命から「不健康な期間」を差し引き「健康な期間」を平均した指標です。平均寿命と健康寿命の差を縮め「不健康な期間」を短くすることで生活の質(QOL)を高められます。

厚生労働省が掲げる「健康寿命延伸プラン」

国民の健康寿命を延ばすため、厚生労働省が2019年に策定したのが「健康寿命延伸プラン」です。厚生労働省は健康寿命を2040年までに3年以上延ばすことを目指し、3つの分野での取り組みを行っています。(※)

次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成等
  • 東京栄養サミットを契機とした食環境づくり
  • 子育て世代包括支援センター設置促進
  • 妊娠前・妊産婦の健康づくり
  • 女性の健康づくり支援の包括的実施
疾病予防・重症化予防
  • リキッドバイオプシーなどのがん検査の研究・開発
  • 慢性腎臓病診療連携体制の全国展開
  • 保険者インセンティブの強化
  • 歯周病等の対策の強化
介護予防・フレイル対策、認知症予防
  • 高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施
  • 介護報酬上のインセンティブ措置の強化
  • 健康支援型配食サービスの推進等
  • 「共生」・「予防」を柱とした認知症施策

以上の取り組みからわかるとおり、健康寿命を延ばすには生活習慣の改善や、病気の早期発見、高齢期のフレイル(虚弱)対策などが必要です。国民一人ひとりも健康意識を高め、健康に関する正しい知識を積極的に取り入れることが求められます。また、定期的に検診や人間ドックを受診し、病気の早期発見に努めましょう。

※出典:厚生労働省. 「健康寿命延伸プラン」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-004.html, (入手日付2022/12/16).

健康寿命を延ばすための生活習慣を身につけよう

この記事では、健康寿命と平均寿命の意味や使い分けについて解説しました。

  • 健康寿命は日常生活に制限のない期間のこと
  • 平均寿命は0歳から生きられる期間のこと
  • 健康寿命と平均寿命の差を縮めることが大切

厚生労働省が2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定したように、長く健やかな生活を送るためには、健康寿命と平均寿命の差を縮める必要があります。あんしんのセコムが提供する会員制健康管理サービス「セコム健康くらぶKENKO」では、会員ひとりにつき、ひとりの主治医と保健師・看護師・栄養士により構成されたチームが、会員様の健康的な日常生活や食事・運動習慣・体調管理まで丁寧にアドバイス。PET/CTなどの高精度の医療機器を用いた総合人間ドックを受診することも可能です。

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