HDプロテクトは、抗がん剤を効率的に分解できるよう、pH、次亜塩素酸ナトリウム濃度を調整した抗がん剤分解溶液です。主要な抗がん剤9種類を素早く分解します(表1)。皮膚や目への刺激性はなく、安全性が高いことが確認されています(表2)。また、HDプロテクトで抗がん剤を分解した生成物が有害でないこと(シミックファーマ株式会社委託Ames試験)も確認しています。HDプロテクトは中性に近い弱酸性のため、金属腐食性は軽微です。そのため、医療現場に多くあるステンレス製機器にもご使用いただけます。(川鉄テクノリサーチ株式会社委託試験) 抗がん剤(主要11剤)の分解効果試験結果 抗がん剤濃度100μg/mlで実施 動物安全性試験結果
表1
(シオノギファーマ株式会社受託試験)
薬剤
効果
分解率(%)
経過時間(分後)
シクロホスファミド
●
99.4
3(※)
5-FU
●
99.9
3(※)
ゲムシタビン
●
100.0
3(※)
6-メルカプトプリン
●
100.0
3(※)
シタラビン
●
100.0
3(※)
ドキソルビシン
●
100.0
3(※)
エトポシド
●
100.0
3(※)
シスプラチン
●
100.0
3(※)
カルボプラチン
●
99.8
3(※)
ドセタキセル
×
-
-
パクリタキセル
×
-
-
※経過時間3分が検査機器で計測できる最速時間です。表2
(財団法人日本食品分析センター受託試験)
試験項目
結果
単回経口投与毒性試験
異常は認められない
急性毒性試験
異常は認められない
眼刺激性試験
刺激性なし
皮膚一次刺激性試験
刺激性なし
皮膚累積刺激性試験
刺激性なし
感作性試験
刺激性なし
細胞毒性試験
問題ない程度
変異原性試験
誘起する作用なし
HDプロテクトを使用する前に、噴霧場所に目視できる汚れをあらかじめ取り除いてください。次に、安全キャビネットの作業台など、曝露が起こりやすい場所にHDプロテクトを噴霧します。まんべんなく噴霧した後、清潔な布やガーゼなどで水滴が残らないように拭き取ります。
HDプロテクトは、抗がん剤を素早く分解しますので、スプレー後すぐに拭きとることができます。また、金属腐食性が軽微なため噴霧後の中和は必要ありません。
ふき取ったガーゼなどは、医療廃棄物として処理してください。その際、廃棄ボックスの中にもHDプロテクトを吹きかけることで、中に付着した抗がん剤も分解することができます。
HDプロテクトは 抗がん剤を扱う様々なシーンでお使いいただけます。
薬剤部 | 安全キャビネットの作業台、壁面、排気口、トレー、キャビネット下の床、運搬ボックス、作業台、廃棄ボックスや出入口、PCのマウスなど |
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外来化学療法室 | 点滴取り出し時の接続部、点滴バッグからの漏洩が起こりやすい点滴台の支柱・床面、患者さんと接するリクライニングチェア、机、パソコンモニタ、マウス、廃棄ボックスなど |
その他 | ナースステーションの作業台、患者さんの体内残存薬剤による曝露が懸念される病室のベッド柵・ドアノブ・スイッチ、患者さんの排泄物に含まれる残存薬剤が飛び跳ねしやすいトイレなど |
日本では、2014年に、厚生労働省より「抗がん剤曝露対策に関する通知」が出され、2 015年には日本がん看護学会、日本臨床腫瘍学会、日本臨床腫瘍薬学会の3学会合同の「がん薬物療法における曝露対策ガイドライン」、2019年には改訂版として「がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン」が策定され、病院での抗がん剤曝露対策が求められるようになりました。これにより、安全キャビネット内での調剤や、マスクや防護服などの使用が推奨されるようになりました。
しかし、曝露の発生は薬剤の調製時だけにおこるものではありません。薬剤の搬送や保管、患者の排泄物や汚染リネンの取扱い、こぼれた薬剤の処理などの場面でも起こりやすいため、調剤時以外にも対策が必要です。
また、がん化学療法は入院から外来にシフトしてきています。外来で抗がん剤治療を受ける患者さんは増加し、自宅でも抗がん剤の漏出や投与終了後の抗がん剤が付着した廃棄物、患者の排泄物などにより、家族への曝露が起こり得ます。
手軽に、安全・安価に、かつ様々な場面で効果を発揮するHDプロテクトを、安全・安心な医療現場づくりにぜひお役立てください。
現行の曝露対策の評価には、現状の把握が大切です。
セコム抗がん剤曝露調査サービスは、病院内で特に抗がん剤曝露が起こりやすいとされる10ヶ所を対象に調査を行います。